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治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬キザルチニブ、全生存期間(OS)を統計学的有意に延長する

[公開日] 2018.07.06[最終更新日] 2018.07.06

この記事の3つのポイント ・QuANTUM-R試験とは、造血幹細胞移植(HSCT)などの治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対してFLT3阻害薬であるキザルチニブ単剤療法の治験医師選択の標準化学療法(SC)に対する有効性を比較検証した第III相試験である ・本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキザルチニブ群27週間に対して標準化学療法(SC)群20.4週間、キザルチニブ群で死亡のリスク(OS)を統計学的有意に24%減少を示した ・本試験の10%以上の患者で確認されたキザルチニブ群のグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は血小板数減少35%、貧血30%、好中球数減少32%、発熱性好中球数減少31%、白血球数減少17%、敗血症性ショック16%、低カリウム血症12%、肺炎12%であった
2018年6 月14日より17日までスウェーデン・ストックホルムで開催された第23回欧州血液学会(EHA2018)にて、治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬であるキザルチニブ単剤療法と標準化学療法(SC)の有効性を比較検証した第III相のQuANTUM-R試験(NCT02039726)の結果がMD Anderson Cancer Center・Jorge Cortes氏らにより公表された。 QuANTUM-R試験とは、造血幹細胞移植(HSCT)などの治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者(N=367人)に対して1日1回キザルチニブ60mg単剤療法を投与する群(N=245人)、または治験医師選択の標準化学療法(SC)である低用量シタラビン(LoDAC)、ミトキサントロン+エトポシド+中用量シタラビン(MEC)、フルダラビン+シタラビン+フィルグラスチム+イダルビシン(FLAG-IDA)などを投与する群(N=122人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無イベント生存期間(EFS)を比較検証したアジアを含む国際多施設共同の第III相試験である。 本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキザルチニブ群27週間(95%信頼区間:23.1-31.3週)に対して標準化学療法(SC)群20.4週間(95%信頼区間:17.3-23.7週)、キザルチニブ群で死亡のリスク(OS)を統計学的有意に24%減少(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.58-0.98,P=0.0177)を示した。また、52週全生存率(OS)はキザルチニブ群27%に対して標準化学療法(SC)群20%であった。 一方の安全性として、10%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はキザルチニブ、標準化学療法(SC)それぞれ下記の通りである。血小板数減少はキザルチニブ群35%に対して標準化学療法(SC)群34%、貧血は30%に対して29%、好中球数減少は32%に対して25%、発熱性好中球数減少は31%に対して21%、白血球数減少は17%に対して16%、敗血症性ショックは16%に対して18%、低カリウム血症は12%に対して9%、肺炎は12%に対して9%の患者でそれぞれ確認された。なお、キザルチニブ投与群241人のうち2人の患者で心電図上のQT延長が確認され、治療中止 に至ったが重篤な心室性不整脈の発症は確認されなかった。 以上のQuANTUM-R試験の結果よりJorge Cortes氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬であるキザルチニブ単剤療法は、標準化学療法(SC)に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に延長することを初めて証明しました。” EHA 2018: Single-Agent Quizartinib vs Chemotherapy in Relapsed or Refractory AML(The ASCO Post, http://www.ascopost.com/News/58973)
ニュース 白血病 ギザルチニブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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