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治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗SLAMF7モノクローナル抗体薬エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善する

[公開日] 2018.07.05[最終更新日] 2018.07.05

この記事の3つのポイント ・ELOQUENT-3試験とは、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiDs)を含む2レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対して抗SLAMF7モノクローナル抗体薬であるエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性を比較検証した第II相試験である ・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群10.3ヶ月に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群4.7ヶ月、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で病勢進行または死亡のリスク(PFS)を統計学的有意に46%減少した ・本試験の副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群53%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群26%、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で2倍以上の奏効率を示した
2018年6月17日、ブリストル·マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースにて再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗SLAMF7モノクローナル抗体薬であるエロツズマブ(商品名エンプリシティ;以下エンプリシティ)+免疫調節薬(IMiDs)であるポマリドミド(商品名ポマリスト;以下ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性を比較検証した第II相のELOQUENT-3試験 (NCT02654132)の結果が公表された。 ELOQUENT-3試験とは、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiDs)であるレナリドミド(商品名レブラミド)を含む2レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者(N=117人)に対して28日を1サイクルとして1、8、15、22日目にエンプリシティ10mg/kg(3サイクル目以降は1日目にエンプリシティ20mg/kg)+1~21日目にポマリスト4mg+デキサメタゾン40mg(76歳以上は20mg)併用療法を投与する群(N=60人)、またはポマリスト+デキサメタゾン併用療法を投与する群(N=57人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した第II相試験である。 本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群10.3ヶ月(95%信頼区間:5.6ヶ月-未到達)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群4.7ヶ月(95%信頼区間:2.8-7.2ヶ月)、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で病勢進行または死亡のリスク(PFS)を統計学的有意に46%減少(ハザード比:0.54,95%信頼区間:0.34-0.86, p=0.0078)した。 また、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群における前治療歴別の無増悪生存期間(PFS)は、前治療歴2~3レジメン群で病勢進行または死亡のリスク(PFS)を45%減少(ハザード比:0.55,95%信頼区間:0.31-0.98)、前治療歴4レジメン以上群で49%減少(ハザード比:0.51,95%信頼区間:0.24-1.08)し、前治療歴に関係なく効果を示した。 副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群53%(95%信頼区間:40%-66%)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群26%(95%信頼区間:16%-40%)、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で2倍以上の奏効率を示した。なお、全生存期間(OS)の結果は未成熟であるが、エンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で死亡のリスク(OS)を38%減少(ハザード比:0.62,95%信頼区間:0.30-1.28)する傾向が確認されている。 一方の安全性として、両群間で確認された治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。グレード3または4の好中球減少症はエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群13%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群27%、貧血は10%に対して20%、全グレードの感染症は両群ともに65%の患者で確認され、既存の各薬剤の安全性プロファイルと一致していた。 以上のELOQUENT-3試験の結果を受けてNational and Kapodistrian University of Athens・Meletios A. Dimopoulos氏は以下のようにコメントを述べている。”再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するエンプリシティ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は、前治療のレジメン数に関係なく無増悪生存期間(PFS)を改善しました。もしもこの治療レジメンが政府当局に承認されれば、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiDs)の治療後に病勢進行(PD)した患者における有力な治療選択肢になり得るでしょう。” ブリストル·マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら https://news.bms.com/press-release/corporatefinancial-news/empliciti-elotuzumab-plus-pomalidomide-and-low-dose-dexamethas
ニュース 多発性骨髄腫 エロツズマブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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