再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+PI阻害薬カイプロリス+デキサメタゾン併用療法、全奏効率(ORR)83%を示す米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.07.05
  • [最終更新日]2018.07.05
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再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対してBCL-2阻害薬であるベネトクラクス+プロテアソーム阻害薬(PI)であるカイプロリス+デキサメタゾン併用療法安全性有効性を検証した用量漸増第II相試験である
・カイプロリス+デキサメタゾン併用療法の主な全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下痢、倦怠感、血小板数減少、吐き気、リンパ球数減少、呼吸困難、不眠症、白血球数減少であった
・本試験の副次評価項目である全奏効率ORR)は全患者群で83%(PR27%,VGPR33%,CR17%,sCR7%)、染色体リスク別ではt(11;14 )群100%(PR14%,VGPR43%,CR29%,sCR14%)、ハイリスク群88%(PR25%,VGPR38%,CR25%)、標準リスク群82%(PR27%,VGPR32%,CR14%,sCR9%)であった

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCL-2阻害薬であるベネトクラクス+プロテアソーム阻害薬(PI)であるカルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+デキサメタゾン併用療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02899052)の結果がUniversity of Alabama at Birmingham・Luciano J. Costa氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者(N=42人)に対して28日を1サイクルとしてベネトクラクス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法を用量別に下記4コーホートに分けて病勢進行(PD)または忍容不能な毒性発現しない限り投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として全奏効率(ORR)などを検証した用量漸増第II相試験である。

・コーホート1(N=4人):1日1回ベネトクラクス400mg+1、2、8、9、15、16日目にカイプロリス27mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート2(N=3人):1日1回ベネトクラクス800mg+1、2、8、9、15、16日目にカイプロリス27mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート3(N=6人):1日1回ベネトクラクス800mg+1、8、15日目にカイプロリス70mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート4(N=3人):1日1回ベネトクラクス800mg+1、2、8、9、15、16、22、23日目にカイプロリス56mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・拡大コーホート(N=14人):1日1回ベネトクラクス800mg+1、8、15日目にカイプロリス70mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は67歳(37-79歳)。ISS分類はステージIが37%(N=15人)、ステージII/IIIが63%(N=26人)。遺伝子異常の種類はt(11;14 )が19%(N=8人)、ハイリスク症例が29%(N=12人)、標準リスク症例が69%(N=29人)。

前治療歴中央値は2レジメン(1-3レジメン)。前治療歴の種類は造血幹細胞移植45%(19人)、プロテアソーム阻害薬(PI)50%(N=21人)、免疫調節薬(IMiDs)62%(N=26人)、プロテアソーム阻害薬(PI)+免疫調節薬(IMiDs)33%(N=14人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)発症率は下記の通りである。全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は95%(N=40人)、20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下痢57%(N=24人)、倦怠感41%(N=17人)、血小板数減少36%(N=15人)、吐き気33%(N=14人)、リンパ球数減少31%(N=13人)、呼吸困難24%(N=10人)、不眠症24%(N=10人)、白血球数減少21%(N=9人)。

副次評価項目である全奏効率(ORR)は全患者群(N=30人)83%(PR27%,VGPR33%,CR17%,sCR7%)、プロテアソーム阻害薬(PI)難治性群(N=14人)86%(PR7%,VGPR57%,CR14%,sCR7%)、免疫調節薬(IMiDs)難治性群(N=19人)79%(PR26%,VGPR42%,CR5%,sCR5%)、プロテアソーム阻害薬(PI)+免疫調節薬(IMiDs)難治性群(N=10人)80%(VGPR60%,CR10%,sCR10%)。

また、染色体リスク別の全奏効率(ORR)はt(11;14 )群(N=7人)100%(PR14%,VGPR43%,CR29%,sCR14%)、ハイリスク群(N=8人)88%(PR25%,VGPR38%,CR25%)、標準リスク群(N=22人)82%(PR27%,VGPR32%,CR14%,sCR9%)。

以上の第II相試験の結果よりLuciano J. Costa氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性多発性骨髄腫(MM)患者に対するベネトクラクス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法は、VGPR以上57%を含む全奏効率(ORR)83%を示しました。また、t(11;14 )をはじめ染色体異常を有する患者に対しても非常に良好な奏効を示しました。”

Phase 2 study of venetoclax plus carfilzomib and dexamethasone in patients with relapsed/refractory multiple myeloma.(ASCO 2018, Abstract No.8004)

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