再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する標準化学療法+抗CD79b抗体薬物複合体Polatuzumab Vedotin、DLBCL患者に対しては有効である米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.07.03
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・本試験は再発難治性濾胞性リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対してトレアキシン+リツキサン±Polatuzumab Vedotinの有効性を比較検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である独立評価委員会のPET評価による濾胞性リンパ腫患者における完全奏効率(CR rate)はPolatuzumab Vedotin投与群69%に対して非投与群63%であった
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者における無増悪生存期間PFS中央値はPolatuzumab Vedotin投与群6.7ヶ月に対して非投与群2.0ヶ月、Polatuzumab Vedotin投与群で病勢進行または死亡のリスクを69%統計学的有意に減少した

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するベンダムスチン(商品名トレアキシン;以下トレアキシン)+リツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)±抗CD79b抗体薬物複合体であるPolatuzumab Vedotin(DCDS4501A)併用療法の有効性を比較検証した第II相試験(NCT02257567)の結果がUniversity of British Columbia・Laurie Helen Sehn氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性濾胞性リンパ腫(N=80人)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者(N=80人)に対して21日(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)または28日(濾胞性リンパ腫)を1サイクルとして1日目、2日目にトレアキシン90mg/m2+1日目にリツキサン375mg/m2併用療法に1日目にPolatuzumab Vedotin 1.8 mg/kgをそれぞれ6サイクル投与する群(N=39人,N=40人)、投与しない群(N=41人,N=40人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価委員会のPET評価による完全奏効率(CR rate)を比較検証した第II相試験である。

本試験に登録された濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者背景はそれぞれ下記の通りである。年齢中央値はPolatuzumab Vedotin投与群の濾胞性リンパ腫患者で65歳(43-74歳)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者で67歳(33-86歳)に対して、非投与群の濾胞性リンパ腫患者で63歳(39-80歳)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者で71歳(30-84歳)。

性別は男性54%(N=21人)、70%(N=28)に対して男性44%(N=18人)、63%(N=25)。ECOG Performance Statusはスコア0-1が92%(N=35人)、83%(N=34人)に対して88%(N=36人)、78%(N=31人)、スコア2が8%(N=3人)、15%(N=6人)に対して12%(N=5人)、20%(N=8人)。

病期ステージIII/IVが85%(N=33人)、85%(N=34人)に対して83%(N=34人)、90%(N=36人)。バルキー病変(7.5cm以上)ありが15%(N=6人)、25%(N=10人)に対して12%(N=5人)、38%(N=15人)。節外病変ありが46%(N=18人)、68%(N=27人)に対して59%(N=24人)、73%(N=29人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である濾胞性リンパ腫患者における独立評価委員会のPET評価による完全奏効率(CR rate)はPolatuzumab Vedotin投与群69%(N=27人)に対して非投与群63%(N=26人)であった。

なお、1年無増悪生存率(PFS)はPolatuzumab Vedotin投与群84%に対して非投与群72%、1年全生存率(OS)はPolatuzumab Vedotinを投与する群89%に対して非投与群90%であった。

また、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者における無増悪生存期間(PFS)中央値はPolatuzumab Vedotin投与群6.7ヶ月(95%信頼区間:4.9-11.1ヶ月)に対して非投与群2.0ヶ月(95%信頼区間:1.5-3.7ヶ月)、Polatuzumab Vedotin投与群で病勢進行または死亡のリスクを69%統計学的有意に減少(ハザード比:0.31,95%信頼区間:0.18-0.55,P<0,0001)した。

全生存期間(OS)中央値はPolatuzumab Vedotin投与群11.8ヶ月(95%信頼区間:9.5ヶ月-未到達)に対して非投与群4.7ヶ月(95%信頼区間:3.7-8.3ヶ月)、Polatuzumab Vedotin投与群で死亡のリスクを65%統計学的有意に減少(ハザード比:0.35,95%信頼区間:0.19-0.67,P=0,0008)した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は下記の通りである。好中球減少症はPolatuzumab Vedotin投与群40%(N=31人)に対して非投与群26%(N=21人)、感染症は19%(N=15人)に対して16%(N=13人)、血小板減少症は18%(N=14人)に対して15%(N=12人)、貧血は18%(N=14人)に対して6%(N=5人)、発熱好中球減少症は12%(N=9人)に対して5%(N=4人)。

以上の第II相試験の結果よりLaurie Helen Sehn氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性濾胞性リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するトレアキシン+リツキサン併用療法に抗CD79b抗体薬物複合体であるPolatuzumab Vedotinの上乗せする治療は忍容性に問題はありませんでした。一方、有効性は濾胞性リンパ腫患者では確認されず、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者では主要評価項目である完全奏効率(CR rate)をはじめ良好な結果を示しました。”

Randomized phase 2 trial of polatuzumab vedotin (pola) with bendamustine and rituximab (BR) in relapsed/refractory (r/r) FL and DLBCL.(ASCO 2018, Abstract No.7507)

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