未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+ナブパクリタキセル併用療法、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善する


  • [公開日]2018.07.02
  • [最終更新日]2018.07.02
この記事の3つのポイント
・IMpassion130試験とは、未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者に対して抗PD-L1抗体薬テセントリク+ナブパクリタキセル併用療法の有効性を比較検証した第III相の試験である
・本試験の主要評価項目であるITT群における無増悪生存期間PFS)、PD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)はテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で統計学的有意に改善し、病勢進行または死亡のリスクを減少した
・本試験の主要評価項目であるPD-L1陽性群における全生存期間OS)はテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で死亡のリスクを減少する傾向が示唆され、次回の解析結果が期待されている

2018年7月2日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のプレスリリースにて未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者に対するPD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+ナブパクリタキセル(商品名アブラキサン;以下アブラキサン)併用療法の有効性を比較検証した第III相のIMpassion130試験(NCT02425891)の結果が公表された。

IMpassion130試験とは、未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者(N=902人)に対して28日を1サイクルとして1、15日目にテセントリク840mg+1、8、15日目にアブラキサン100mg/m2併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとしてプラセボ+1、8、15日目にアブラキサン100mg/m2併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてITT群における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)、ITT群における全生存期間(OS)、PD-L1陽性群における全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同二重盲検下の第III相試験である。

本試験の初回解析の結果、主要評価項目であるITT群における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)はテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で統計学的有意に改善し、病勢進行または死亡のリスクを減少する結果を示した。

また、もう一方の主要評価項目である全生存期間(OS)については、PD-L1陽性群における全生存期間(OS)はテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で死亡のリスクを減少する傾向が示唆されており、次回の解析結果が期待されている。

一方の安全性として、テセントリク+アブラキサン併用療法により治療関連有害事象(TRAE)は既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で確認された新たな有害事象(TRAE)はなかった。

以上のIMpassion130試験の結果を受けてエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のようなコメントを述べている。”IMpassion130試験は治療選択肢の限られているトリプルネガティブ乳がんの治療としてがん免疫療法のポジティブな結果を証明した最初の第III相試験です。本試験の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁EMA)をはじめとした政府当局と話し合いを進め、テセントリク+アブラキサン併用療法がトリプルネガティブ乳癌の治療選択肢として臨床に届けられるよう努めてまいります。”

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のプレスリリースはこちら
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2018-07-02.htm

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