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未治療の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善する

[公開日] 2018.06.22[最終更新日] 2018.06.22

この記事の3つのポイント ・IMpower131試験とは、未治療の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法、カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法、テセントリク+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性を比較検証した第III相試験である ・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群6.3ヶ月に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群5.6ヶ月、テセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群で病勢進行または死亡のリスクを28.5%統計学的有意に減少した ・本試験の副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群59.4%に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群51.3%であった
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、未治療の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法とカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法の有効性を比較検証した第III相のIMpower131試験(NCT02367794)の結果がRocky Mountain Cancer Centers・Robert M. Jotte氏らにより公表された。 IMpower131試験とは、前治療歴のないステージIV非小細胞肺がん患者(N=1021人)に対して21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+1日目にカルボプラチン6AUC+1日目にパクリタキセル200mg/m2併用療法を投与する群(アームA,N=338人)、21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+カルボプラチン+1日、8日、15日、21日目にナブパクリタキセル100mg/m2併用療法を投与する群(アームB,N=343人)、21日を1サイクルとして1日目にカルボプラチン+1日、8日、15日、21日目にナブパクリタキセル100mg/m2併用療法を投与する群(アームC,N=340人)の3群に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した多施設共同オープンラベルの第III相試験である。 本試験のフォローアップ期間中央値9.8ヶ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群(アームB)6.3ヶ月に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群(アームC)5.6ヶ月、テセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群で病勢進行または死亡のリスクを28.5%統計学的有意に減少(ハザード比:0.715,95%信頼区間:0.603-0.848,P=0.0001)した。 また、12ヶ月無増悪生存率(PFS rate)はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群24.7%に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群12.0%であった。 副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群59.4%に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群51.3%であった。また、奏効持続期間(DOR)中央値はテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群6.6ヶ月(95%信頼区間:5.7-7.1ヶ月)に対してカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群4.4ヶ月(95%信頼区間:4.2-5.2ヶ月)であった。 一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はテセントリク+カルボプラチンもしくはパクリタキセル併用群(アームA)91.3%、テセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群(アームB)94.6%、カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用群(アームC)90.7%であった。 また、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はアームA群42.8%、アームB群68.0%、アームC群56.9%、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率はアームA群22.3%、アームB群20.4%、アームC群10.5%であった。 以上のIMpower131試験の結果よりRobert M. Jotte氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク+カルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法はカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法よりも主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。” IMpower131: Primary PFS and safety analysis of a randomized phase III study of atezolizumab + carboplatin + paclitaxel or nab-paclitaxel vs carboplatin + nab-paclitaxel as 1L therapy in advanced squamous NSCLC.(ASCO 2018, Abstract No.LBA9000)
ニュース 肺がん カルボプラチン

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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