ステージIII治癒切除胃がん日本人患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法、TS-1単剤療法に比べて3年無再発生存率(RFS)を統計学的有意に向上させる米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.19
  • [最終更新日]2019.11.18
この記事の3つのポイント
・ACCRO GC-07 (START-2)試験とは、ステージIII治癒切除胃がん日本人患者に対して術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法とTS-1単剤療法有効性を検証した第III相の試験である
・本試験の主要評価項目である3年無再発生存率(RFS rate)はTS-1+ドセタキセル併用療法群65.9%に対してTS-1単剤療法群49.6%、TS-1+ドセタキセル併用療法群で3年以内の再発または死亡(RFS)のリスクが36.8%統計学的有意に減少した
・TS-1+ドセタキセル併用療法群で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は白血球減少症、食欲不振、食欲不振、口内炎、貧血であった

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、ステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名TS-1;以下TS-1)+ドセタキセル併用療法のTS-1単独療法に対する有効性を検証した第III相のJJACCRO GC-07 (START-2)試験(UMIN 000010337)の結果が名古屋大学医学部附属病院・小寺泰弘氏らにより公表された。

ACCRO GC-07 (START-2)試験とは、ステージIII治癒切除胃がん日本人患者(N=138人)に対して1コース目はTS-1を14日間連続投与後7日間休薬、2コース目は3週を1サイクルとしてTS-1を14日間連続投与後7日間休薬+3週間に1回ドセタキセル40mg/m2を計6コース投与、8コース目はTS-1を28日間連続投与後14日間休薬する群、または42日を1サイクルとしてTS-1を28日間連続投与後14日間休薬を8コース投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として3年無再発生存率(RFS rate)、副次評価項目として安全性などを比較検証した第III相の試験である。

本試験の結果、主要評価項目である3年無再発生存率(RFS rate)はTS-1+ドセタキセル併用療法群65.9%に対してTS-1単剤療法群49.6%、TS-1+ドセタキセル併用療法群で3年以内の再発または死亡(RFS)のリスクが36.8%統計学的有意に減少(ハザード比:0.632,99%信頼区間:0.400-0.998, p = 0.0007)した。なお、この結果に基づき独立データモニタリング委員会は試験の早期中止を推奨した。

一方の安全性として、TS-1+ドセタキセル併用療法群で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は白血球減少症、食欲不振、食欲不振、口内炎、貧血であった。

以上のJACCRO GC-07 (START-2)試験の結果より小寺泰弘氏らは以下のように結論を述べている。”ステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法は新しい標準治療として推奨されるべきでしょう。”

A randomized phase III study comparing S-1 plus docetaxel with S-1 alone as a postoperative adjuvant chemotherapy for curatively resected stage III gastric cancer (JACCRO GC-07 trial).(ASCO 2018, Abstract No.4007)

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