治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法、客観的奏効率(ORR)32%を示す米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.19
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・KEYNOTE-164試験(コーホートB)とは、1レジメン以上の治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がん患者に対して抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法の有効性安全性を検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である客観的奏効率ORR)は32%を示し、その奏効率(RR)の内訳は完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)18人であった
・キイトルーダの主な全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症であった

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証したKEYNOTE-164試験(NCT02460198)のコーホートBにおける結果がJohns Hopkins University・Dung T. Le氏らにより公表された。

KEYNOTE-164試験(コーホートB)とは、フッ化ピリミジン、イリノテカンオキサリプラチンなど1レジメン以上の治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がん患者(N=63人)に対して3週に1回キイトルーダ200mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した第II相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値12.6ヶ月(0.1-15.4ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は32%(95%信頼区間:21%-45%)を示し、その奏効率(RR)の内訳は完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)18人であった。

副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は未到達であったが、奏効を達成した75%の患者で6ヶ月以上の奏効持続期間(DOR)を達成した。無増悪生存期間(PFS)中央値は4.1ヶ月(95%信頼区間:2.1ヶ月-未到達)、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は41%、全生存期間(OS)中央値は未到達、12ヶ月全生存率(OS)は76%であった。

一方の安全性として、10%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。倦怠感18%、甲状腺機能低下症16%、甲状腺機能亢進症11%。また、全グレードの免疫関連副作用irAE)は32%(N=20人)の患者で確認された。

グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は11%(N=7人)で、その内訳は貧血、血小板減少症、下痢、気管支腸症、関節炎、失神、肺炎および血管炎であった。なお、グレード3または4の免疫関連副作用(irAE)は3%(N=2人)の患者で確認され、その内訳は大腸炎、肺炎であった。

以上のKEYNOTE-164試験(コーホートB)の結果よりDung T. Le氏らは以下のように結論を述べている。”1レジメン以上の治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がん患者に対するキイトルーダ単剤療法は、持続的で高率な抗腫瘍効果を発揮し、その副作用も管理可能でした。”

KEYNOTE-164: Pembrolizumab for patients with advanced microsatellite instability high (MSI-H) colorectal cancer.(ASCO 2018, Abstract No.3514)

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