閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害剤リボシクリブ+フルベストラント併用療法、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長する米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.13
  • [最終更新日]2018.06.13
この記事の3つのポイント
・MONALEESA-3試験とは、閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対してCDK4/6阻害剤であるリボシクリブ+フルベストラント併用療法プラセボに対する有効性を比較検証した第III相試験である
・本試験の主要評価項目である治験医師評価による無増悪生存期間PFS中央値はリボシクリブ群20.5ヶ月に対してプラセボ群12.8ヶ月、リボシクリブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40.7%減少した
・本試験の副次評価項目である全奏効率ORR)はリボシクリブ群41%に対してプラセボ群29%(P=0.003)、臨床的有用率CBR)はリボシクリブ群69%に対してプラセボ群60%(P= 0.015)であった

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害剤であるリボシクリブ+フルベストラント併用療法のプラセボに対する有効性を比較検証した第III相のMONALEESA-3試験(NCT02422615)の結果がUCLA Medical Center・Dennis J. Slamon氏らにより公表された。

MONALEESA-3試験とは、閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=726人)に対して1日1回リボシクリブ600mg(3週間投与後1週間休薬)+フルベストラント500mg併用療法を投与する群、またはプラセボ+フルベストラント500mg併用療法を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全奏効率(ORR)、臨床的有用率(CBR)、安全性などを比較検証した二重盲検化下の第III相試験である。

本試験の無作為化後の治療期間中央値20.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)中央値はリボシクリブ群20.5ヶ月(95%信頼区間:18.5–23.5ヶ月)に対してプラセボ群12.8ヶ月(95%信頼区間:10.9–16.3ヶ月)、リボシクリブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40.7%減少(ハザード比:0.593,95%信頼区間:0.480–0.732,P= 4.10×10–7)し、主要評価項目を達成した。なお、独立評価委員会による無増悪生存期間(PFS)も同様の結果であった。

副次評価項目である全奏効率(ORR)はリボシクリブ群41%に対してプラセボ群29%(P=0.003)、臨床的有用率(CBR)はリボシクリブ群69%に対してプラセボ群60%(P= 0.015)であった。

一方の安全性としては、リボシクリブ群で30%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は好中球減少症70%、吐き気45%、倦怠感31%であった。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症47%、ALT上昇7%、AST上昇6%であった。

以上のMONALEESA-3試験の結果よりDennis J. Slamon氏らは以下のように結論を述べている。”閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対してリボシクリブ+フルベストラント併用療法は無増悪生存期間(PFS)を改善し、安全性も良好です。”

Ribociclib (RIB) + fulvestrant (FUL) in postmenopausal women with hormone receptor-positive (HR+), HER2-negative (HER2–) advanced breast cancer (ABC): Results from MONALEESA-3.(ASCO 2018, Abstract No.1000)

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