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自己免疫疾患を有する非小細胞肺がん患者に対して抗PD-1/PD-L1抗体薬を投与した結果、既存の自己免疫疾患が悪化した患者は23%(N=13人)であり、その内11人の患者は抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療を継続した
・抗PD-1/PD-L1抗体薬により既存の自己免疫疾患が悪化したグレードの程度はグレード1または2が87%(N=13人)、グレード3または4が13%(N=2人)であった
・既存の自己免疫疾患とは関係のない免疫関連副作用irAE)を発症した患者は38%(N=21人)、その21人の患者の発症グレードの内訳は、グレード1または2が74%(N=17人)、グレード3または4が26%(N=6人)であった

2018年5月10日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて抗PD-1/PD-L1抗体薬治療前より自己免疫疾患を有する非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1/PD-L1抗体薬の安全性について検証した試験の結果がDana-Farber Cancer Institute・Giulia C. Leonardi氏らにより公表された。

本試験は、抗PD-1/PD-L1抗体薬治療前より自己免疫疾患を有する非小細胞肺がん患者(N=56人)に対して抗PD-1/PD-L1抗体薬単剤療法を投与し、その安全性についてレトロスペクティブに検証した試験である。なお、本試験における既存の自己免疫疾患の種類は下記の通りである。

リウマチ系は関節リウマチ(N=11人)、リウマチ性多発筋痛(N=5人)、血清反応陰性関節炎(N=4人)、強皮症(N=2人)、乾癬性関節炎(N=2人)、全身性エリテマトーデス(N=1人)、シェーグレン症候群N=1人)、側頭動脈炎N=1人)。皮膚系は乾癬(N=14人)、円形脱毛症(N=1人)、円板状エリテマトーデス(N=1人)。内分泌系はバセドウ病(N=5人)、橋本病(N=4人)。消化器系は潰瘍性大腸炎(N=3人)、クローン病(N=3人)。その他はリウマチ熱(N=2人)、自己免疫性溶血性貧血(N=1人)。

また、本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は67歳(45-90歳)。性別は男性38%(N=21人)、女性62%(N=35人)。喫煙歴はなし7%(N=4人)、あり93%(N=49人)。ECOG Performance Statusはスコア0が7%(N=4人)、スコア1が63%(N=34人)、スコア2が26%(N=14人)、スコア3が4%(N=2人)、スコア4が0%。肺がんの種類は腺がん73%(N=41人)、扁平上皮がん25%(N=14人)、低分化型がん2%(N=1人)。

抗PD-1/PD-L1抗体薬の種類はニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)80%(N=45人)、ペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)18%(N=10人)、アテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)2%(N=1人)。抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療ライン一次治療16%(N=9人)、二次治療62%(N=35人)、三次治療7%(N=4人)、四次治療12%(N=7人)、5次治療2%(N=1人)。

抗PD-1/PD-L1抗体薬投与時の肺がんステージはIIIBが11%(N=6人)、IVが89%(N=50人)。腫瘍細胞におけるPD-L1発現率は1%以上88%(N=14人)、50%以上50%(N=8人)、陰性12%(N=2人)、不明2%(N=1人)。

以上の背景を有する患者に対する抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療期間中央値3.1ヶ月(95%信頼区間:1.8-5.1ヶ月)時点における結果は下記の通りである。抗PD-1/PD-L1抗体薬治療により既存の自己免疫疾患が悪化した患者は23%(N=13人)、抗PD-1/PD-L1抗体薬による影響は軽微であり11人の患者で抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療を継続した。

自己免疫疾患が悪化した患者13人の内、その自己免疫疾患の発症グレードはグレード1または2が87%(N=13人)、グレード3または4が13%(N=2人)であった。そして、自己免疫疾患の悪化のために必要となった対処療法は支持療法(N=7人)、ヒドロキシクロロキン(N=1人)、外用または関節内コルチコステロイド(N=6人)、全身性コルチコステロイド(N=4人)。

また、既存の自己免疫疾患とは関係のない免疫関連副作用(irAE)を発症した患者は38%(N=21人)であった。免疫関連副作用(irAE)を発症した患者21人のグレードの内訳は、グレード1または2が74%(N=17人)、グレード3または4が26%(N=6人)であった。そして、免疫関連副作用(irAE)のために必要となった対処療法は支持療法(N=10人)、全身性コルチコステロイド(N=7人)、対処療法なし(N=7人)。

一方の有効性としては、奏効の評価可能であった56人の患者における全奏効率は22%(N=23人)を示し、その奏効の内訳は完全奏効(CR)0%、部分奏効(PR)22%(N=11人)、病勢安定SD)31%(N=15人)、病勢進行(PD)47%(N=23人)であった。また、病勢コントロール率は病勢安定(SD)31%(N=15人)であった。

以上のレトロスペクティブ試験の結果より、Giulia C. Leonardi氏らは以下のように結論を述べている。”自己免疫疾患を有する非小細胞肺がん患者に対して抗PD-1/PD-L1抗体薬を投与することで、既存の自己免疫疾患が悪化する患者は少数です。また、抗PD-1/PD-L1抗体薬による免疫関連副作用(irAE)の発症率は自己免疫疾患を有する患者と有さない患者において違いはありません。自己免疫疾患を有する患者であっても抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療関連有害事象(TRAE)は管理可能であり、治療継続が困難になることはありません。”

Safety of Programmed Death–1 Pathway Inhibitors Among Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer and Preexisting Autoimmune Disorders(DOI: 10.1200/JCO.2017.77.0305 Journal of Clinical Oncology – published online before print May 10, 2018)

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