この記事の3つのポイント
・がんサバイバーの約60%が一度は不眠症を経験している
・がんサバイバーの不眠症に対しては認知行動療法、鍼灸治療ともに不眠重症度指数(ISI)を改善する効果を示した
・軽度不眠症を患う患者に対しては鍼灸治療よりも認知行動療法群で多くの患者が不眠重症度指数(ISI)の改善を示した(P<0.0001)

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催される米国癌治療学会議(ASCO 2018)に先立って行われた報道解禁プレスキャストにて、不眠症を患うがんサバイバーに対する鍼灸治療と認知行動療法の有効性を比較検証した無作為化試験(NCT02356575)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer Center・Jun J. Mao氏らにより公表された。

本試験は、不眠症を患うがんサバイバー(N=160人)に対して鍼灸治療を8週間する群、または認知行動療法を8週間する群に無作為に振り分け、主要評価項目として0~28点(高得点ほど重症)で評価する不眠重症度指数(ISI)を比較検証した無作為化試験である。

なお、認知行動療法とは睡眠に関する考え、行動、感情の修正を試みる方法である。例えば、ベッドで過ごす総時間を減らす、ベットでの活動を睡眠・セックスのみに制限する、携帯電話・タブレット端末などの光を制限する、遅い時間の食事を避けるなどである。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値61.5歳。性別は男性43%(N=69人)、女性57%(N=91人)。人種は非白人29.4%(N=47人)。がんと診断されてからの期間中央値は約6年。不眠n重症度指数(ISI)によるベースライン時の重症度は軽度不眠(8~14点)が33人、中等度不眠(15~21点)が94人、重度不眠(22~28点)が33人であった。

上記背景を有する患者に対する本試験の主要評価項目である不眠重症度指数(ISI)は鍼灸治療群では8.3ポイント(95%信頼区間:7.3-9.4ポイント)減少したのに対して認知行動療法群では10.9ポイント(95%信頼区間:9.8-12.0ポイント)、認知行動療法群の方が不眠重症度指数(ISI)を2.6ポイント(95%信頼区間:1.1 – 4.1ポイント, P = 0.0007)多く減少した。

また、不眠重症度指数(ISI)の重症度に応じた不眠重症度指数(ISI)減少の結果は下記の通りである。ベースライン時軽度不眠症を患う患者においては、鍼灸治療群では18%の患者しか改善しなかったのに対して認知行動療法群では85%の患者が改善した(P<0.0001)。一方、ベースライン時中等度から重度不眠症を患う患者においては、鍼灸治療群では66%、認知行動療法群では75%の患者で改善が確認された(P=0.26)。

なお、両群ともに有害事象(AE)の発症率は低く、その効果は観察終了期間の20週間時点でも確認された。また、QOLの向上は身体面、精神面共に両群間で改善が確認された。

以上の無作為化試験の結果を受けてJun J. Mao氏らは以下のように結論を述べている。”不眠症を患うがんサバイバーに対する鍼灸治療、認知行動療法は共に長期間にわたって臨床的意義のある効果を示しました。そして、認知行動療法は鍼灸治療に比べて軽度不眠症を患う患者に対して有効である可能性が示唆されました。”

The effect of acupuncture versus cognitive behavior therapy on insomnia in cancer survivors: A randomized clinical trial.(2018 ASCO Annual Meeting, Abstract No.10001)

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