この記事の3つのポイント
BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がん患者に対するリムパーザ、医師の選択した化学療法に対する全生存期間OS)の優越性を証明できず
・全生存期間(OS)のサブグループ解析では、前治療歴として化学療法を受けていない患者群においてはリムパーザが全生存期間(OS)を統計学有意に延長する
・エストロゲン受容体陽性or/andホルモン受容体陽性患者群、トリプルネガティブ患者群などでは医師の選択した化学療法に対するリムパーザの全生存期間(OS)の優越性を証明できず

2018年4月14日から18日、アメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴにて開催されている第109回米国癌研究会議(AACR 2018)にて、BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がん患者に対するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)単剤療法と医師の選択した化学療法(カペシタビン、ビノレルビン、エリブリンのいずれか1つ)の有効性を検証した第III相のOlympiAD試験(NCT02000622)のアップデート解析結果が公表されたことをアストラゼネカ社、メルク・アンド・カンパニー社がプレスリリースで公表した。

OlympiAD試験とは、gBRCA1またはgBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移乳がん患者(N=302人)に対して1日2回リムパーザ300mgを投与する群、または医師の選択した化学療法(カペシタビン、ビノレルビン、エリブリンのいずれか1つ)を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを検証した国際多施設共同非盲検の第III相試験である。

以前のOlympiAD試験の結果報告では、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は化学療法群に比べてオラパリブ群で有意延長し、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを42%低減(ハザード比 0.58,95%信頼区間 0.43-0.80,P=0.0009)することを示しており、今回の報告では副次評価項目である全生存期間(OS)のアップデート解析結果である。

アップデート解析の結果、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群19.3ヶ月に対して医師の選択した化学療法群17.1ヶ月、リムパーザ群で死亡(OS)のリスクを10%低減(ハザード比 0.90,95%信頼区間 0.66-1.23,P=0.513)するも統計学的有意な差を示すことはできなかった。

また試験開始前に設定されたサブグループにおける全生存期間(OS)の結果は下記の通りであり、前治療歴として化学療法を受けていない群以外の患者群を除き、全リムパーザ群で生存期間(OS)の優越性を示すことはできなかった。

前治療歴として化学療法を受けていない群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群22.6ヶ月に対して医師の選択した化学療法群14.7ヶ月、リムパーザ群で死亡(OS)のリスクを49%低減(ハザード比 0.51,95%信頼区間 0.29-0.90,P=0.02)した。

前治療歴として化学療法を受けている群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群18.8ヶ月に対して医師の選択した化学療法群17.2ヶ月、リムパーザ群で死亡(OS)のリスクを13%増加(ハザード比 1.13,95%信頼区間 0.79-1.64,P=0.52)した。

他にも、前治療歴としてプラチナ系ベースの化学療法を受けていない群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群20.3ヶ月に対して医師の選択した化学療法群19.6ヶ月(ハザード比 0.91,95%信頼区間 0.64-1.33,P=0.63)、前治療歴としてプラチナ系ベースの化学療法を受けている群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群17.2ヶ月に対して医師の選択した化学療法群13.3ヶ月(ハザード比 0.83,95%信頼区間 0.49-1.45,P=0.49)。

エストロゲン受容体陽性or/andホルモン受容体陽性患者群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群21.8ヶ月に対して医師の選択した化学療法群21.3ヶ月(ハザード比 0.86,95%信頼区間 0.55-1.36,P=0.51)、トリプルネガティブ患者群における全生存期間(OS)中央値はリムパーザ群17.4ヶ月に対して医師の選択した化学療法群14.9ヶ月(ハザード比 0.93,95%信頼区間 0.62-1.43,P=0.75)。

以上のOlympiAD試験のアップデート解析結果より、アストラゼネカ社・グローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントであるSean Bohen氏は以下のように述べている。”リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がん患者さんに対する無増悪生存期間(PFS)の優越性を証明しましたが、全生存期間(OS)の優越性を示すことはできませんでした。”

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