治療歴のあるステージIIIB/IV非小細胞肺がん患者に対するオプジーボ+ IL-15スーパーアゴニストALT-803併用療法、抗PD-1抗体薬治療歴のある患者に対しても抗腫瘍効果を示す医学誌『Lancet Oncology』より


  • [公開日]2018.04.17
  • [最終更新日]2020.03.18
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるステージIIIB/IV非小細胞肺がん患者に対するオプジーボ+ALT-803併用療法の客観的奏効率ORR)は29%
・オプジーボ+ALT-803併用療法の主な有害事象(AE)は注射部位反応、インフルエンザ様症状、発熱、倦怠感、吐き気、疼痛である
・抗PD-1抗体薬治療後に病勢進行した患者に対するオプジーボ+ALT-803併用療法の客観的奏効率(ORR)は27%

2018年4月5日、医学誌『Lancet Oncology』にて治療歴のあるステージIIIB/IV非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+ IL-15スーパーアゴニストであるALT-803併用療法の安全性有効性等を検証した第Ib相試験(NCT02523469)の結果がThe Medical University of South Carolina・John M Wrangle氏らにより公表された。

本試験は、治療歴のあるステージIIIB/IV非小細胞肺がん患者(N=21人)に対して2週間に1回の投与間隔でオプジーボ3mg/kg+6週間を1サイクルとして1週間に1回の投与間隔(6週目のみ休薬)でALT-803を6μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kgと漸増しながら4サイクル投与し、主要評価項目として安全性、第II相推奨用量、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証したオープンラベルの第Ib相試験である。

なお、治療歴のある患者の中にはオプジーボ、抗PD-1抗体薬であるペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ)、抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク単剤療法投与3ヶ月後に病勢進行した患者も含まれている。

本試験に参加した患者背景は下記の通りである。年齢中央値55歳(46-67歳)。性別は男性71%(N=15人)、女性29%(N=6人)。人種は白人86%(N=18人)、黒人10%(N=2人)、アジア人5%(N=1人)。ECOG Performance Statusはスコア0が48%(N=10人)、スコア1が52%(N=11人)。喫煙歴はなしが42%(N=9人)、ありが57%(N=12人)。

非小細胞肺がんの種類は扁平上皮10%(N=2人)、非扁平上皮90%(N=19人)。前治療のレジメン数中央値は2(1-9)、1レジメンが48%(N=10人)、2から3レジメンが38%(N=8人)、3レジメン以上が14%(N=3人)。前治療歴の種類はプラチナ系抗がん剤ベースの化学療法100%(N=21人)、化学放射線療法20%(N=4人)、抗PD-1抗体薬52%(N=11人)。

遺伝子変異のタイプはKRAS遺伝子変異陽性29%(N=6人)、EGFR遺伝子変異陽性10%(N=2人)、RET融合遺伝子陽性5%(N=1人)、BRAF遺伝子変異陽性10%(N=2人)。PD-L1発現率は0-1%未満48%(N=10人)、1%以上50%未満10%(N=2人)、50%以上20%(N=4人)、不明24%(N=5人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である安全性として、最も一般的な有害事象(AE)は注射部位反応90%(N=19人)、インフルエンザ様症状71%(N=15人)、発熱67%(N=11人)、倦怠感47%(N=10人)、吐き気38%(=8人)、疼痛33%(N=7人)。

最も一般的なグレード3の有害事象(AE)はリンパ球減少症10%(N=2人)、倦怠感10%(N=2人)であった。グレード4または5の有害事象(AE)を発症した患者はいなかった。なお、ALT-803の治験最大用量である20μg/kg投与時でも用量制限毒性DLT)は確認されず、最大耐用量(MTD)に達しなかった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は29%(N=6人)の患者で確認され、その内訳は全て部分奏効(PR)であり、完全奏効(CR)を達成した患者はいなかった。また、病勢安定SD、部分奏効(PR)、完全奏効(CR)を達成した患者の割合である病勢コントロール率(DCR)は76%(N=16人)。無増悪生存期間(PFS)中央値は9.4ヶ月(95%信頼区間:3.0ヶ月-未到達)、全生存期間(OS)中央値は17.4ヶ月(95%信頼区間:9.0ヶ月-未到達)。

なお、客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)は抗PD-1抗体薬治療後に再発または難治性を示した患者、PD-L1陰性(PD-L11%未満)患者、PD-L1陽性(PD-L150%以上)患者別に分けたサブグループ解析を実施しており、その結果は下記の通りである。

客観的奏効率(ORR)は抗PD-1抗体薬治療後に再発または難治性を示した患者27%(N=3人)、PD-L1陰性患者30%(N=3人)、PD-L1陽性患者75%(N=3人)。病勢コントロール率(DCR)は抗PD-1抗体薬治療後に再発または難治性を示した患者91%(N=10人)、PD-L1陰性患者70%(N=7人)、PD-L1陽性患者100%(N=4人)。

以上の第Ib相試験の結果よりJohn M Wrangle氏らは以下のような結論を述べている。”転移性非小細胞肺がん患者に対してIL-15スーパーアゴニストであるALT-803をオプジーボに追加投与することで臨床意義のある抗腫瘍効果を発揮しました。また、抗PD-1抗体薬治療後に再発または難治性を示した患者に対しても抗腫瘍効果を発揮しました。”

ALT-803, an IL-15 superagonist, in combination with nivolumab in patients with metastatic non-small cell lung cancer: a non-randomised, open-label, phase 1b trial(Lancet Oncology, DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30148-7)

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