自家造血幹細胞移植後再発進行古典的ホジキンリンパ腫患者に対するオプジーボ、アドセトリス投与前で客観的奏効率(ORR)65%、投与後でも68%医学誌『Journal of Clinical Oncology』より


  • [公開日]2018.04.06
  • [最終更新日]2018.04.06
この記事の3つのポイント
・CheckMate-205試験とは自家造血幹細胞移植後の再発進行古典的ホジキンリンパ腫患者に対するオプジーボ単剤療法の有効性安全性を抗CD30抗体薬であるアドセトリスの治療状況別の3コーホートに分けて検証した試験である
・客観的奏効率ORR)はコーホートAで65%、コーホートBで68%、コーホートCで73%である
・オプジーボ単剤療法の主な治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感、下痢、インフュージョンリアクションである

2018年3月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)後の再発進行古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第Ⅱ相のCheckMate -205試験(NCT02181738)の結果がDana-Farber Cancer Institute・Philippe Armand氏らにより公表された。

CheckMate-205試験とは、自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)後の再発進行古典的ホジキンリンパ腫成人患者(N=243人)に対して、下記3つのコーホート別に2週間に1回の投与サイクルでオプジーボ3mg/kgを病勢進行または継続が困難な有害事象(AE)が発症するまで投与継続し、主要評価項目として独立評価委員会(IRC)判定による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として独立評価委員会(IRC)判定による奏効持続期間(DOR:PR(部分奏効)または完全奏効(CR)を達成した患者割合)、無増悪生存期間PFS)などを検証した。

コーホートA:ブレンツキシマブ ベドチン(商品名アドセトリス;以下アドセトリス)未治療群(N=63人)
コーホートB:アドセトリス既治療群(N=80人)
コーホートC:自家造血幹細胞移植前(and/or)自家造血幹細胞移植後アドセトリス既治療群(N=100人)

本試験に登録されたコーホート別の患者背景は下記の通りである。年齢中央値はコーホートAで33歳(26-45歳)、コーホートBで37歳(28-48歳)、コーホートCで32歳(25-47歳)。性別はコーホートAで男性54%(N=34人)、コーホートBで男性64%(N=51人)、コーホートCで男性56%(N=56人)。ECOG Performance StatusはコーホートAでスコア0が62%(N=39人)、スコア1が38%(N=24人)、コーホートBでスコア0が52%(N=42人)、スコア1が48%(N=38人)、コーホートCでスコア0が50%(N=50人)、スコア1が50%(N=50人)。

診断時よりオプジーボ初回投与までの期間中央値はコーホートAで3.1年(2.0-7.5年)、コーホートBで6.2年(3.3-8.3年)、コーホートCで3.5年(2.3-6.4年)。自家造血幹細胞移植よりオプジーボ初回投与までの期間中央値はコーホートAで1.0年(0.5-4.7年)、コーホートBで3.4年(1.9-5.9年)、コーホートCで1.7年(0.8-3.8年)。

上記背景を有する患者に対してオプジーボ単剤療法を投与したフォローアップ期間中央値18ヶ月(コーホートAで19ヶ月、コーホートBで23ヶ月、コーホートCで16ヶ月)時点における主要評価項目である独立評価委員会(IRC)判定による客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。コーホートAで65%(95%信頼区間:52%-77%)、コーホートBで68%(95%信頼区間:56%-78%)、コーホートCで73%(95%信頼区間:63%-81%)、全コーホートで69%(95%信頼区間:63%ー75%)を示した。

また、客観的奏効率(ORR)を達成した患者のうち完全奏効(CR)を達成した患者はコーホートAで29%(N=18人)、コーホートBで13%(N=10人)、コーホートCで12%(N=12人)、全コーホートで16%(N=40人)を示した。

副次評価項目である独立評価委員会(IRC)判定による奏効持続期間中央値はコーホートAで20.3ヶ月、コーホートBで15.9ヶ月、コーホートCで14.5ヶ月、全コーホートで16.6ヶ月(95%信頼区間:13.2-20.3ヶ月)を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値はコーホートAで18.3ヶ月、コーホートBで14.7ヶ月、コーホートCで11.9ヶ月、全コーホートで14.7ヶ月(95%信頼区間:11.3-18.5ヶ月)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感23%(N=56人)、下痢15%(N=37人)、インフュージョンリアクション14%(N=34人)。また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はリパーゼ上昇5%(N=11人)、好中球減少症3%(N=8人)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)上昇3%(N=8人)。なお、本試験に参加した29人の患者の死亡が確認されているが、その死因は治験薬剤を原因とするものでなかった。

以上のCheckMate -205試験の結果よりPhilippe Armand氏らには以下のように結論を述べている。”自家造血幹細胞移植後の再発進行古典的ホジキンリンパ腫患者さんに対するオプジーボ単剤療法は奏効持続期間(DOR)が良好であり、長期間投与しても安全性に問題ことが本試験により証明されました。”

Nivolumab for Relapsed/Refractory Classic Hodgkin Lymphoma After Failure of Autologous Hematopoietic Cell Transplantation: Extended Follow-Up of the Multicohort Single-Arm Phase II CheckMate 205 Trial(DOI: 10.1200/JCO.2017.76.0793 Journal of Clinical Oncology – published online before print March 27, 2018)

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