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PIK3CA変異を有する進行固形がんに対するAlpelisib(BYL719)、臨床的有用性(CBR)15.7%を示す

[公開日] 2018.04.05[最終更新日] 2018.04.05

2018年2月5日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、PIK3CA変異を有する進行固形がん患者に対するホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)のα-アイソフォーム阻害薬であるAlpelisib(BYL719)単剤療法の安全性、有効性を検証した第I相試験(NCT01219699)の結果がMassachusetts General Hospital・Dejan Juric氏らにより公表された。 本試験は、PIK3CA遺伝子変異を有する進行固形がん、またはPIK3CA遺伝子変異野生型エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がん患者(N=134人)に対して28日を1サイクルとして1日1回Alpelisib30-450 mgまたは1日2回Alpelisib120-200mgを病勢進行(PD)あるいは許容できない毒性発現まで継続投与し、主要評価項目として最大耐量(MTD)、第II相臨床試験の推奨用量(RP2D)、副次評価項目として部分奏効(PR)+完全奏効(CR)として定義された客観的奏効率(ORR)検証したオープンラベルの第I相試験である。PIK3CA遺伝子ステータスは変異型93.3%(N=125人)、野生型5.2%(N=7人)、不明1.5%(N=2人)。 本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値59歳(21-82)、女性73.1%(N=98人)、ECOG Performance Statudスコア0が38.1%(N=51人)、1が57.5%(N=77人)。固形がん種は多い順に乳がん26.9%(N=36人)、大腸がん26.1%(N=35人)頭頸部がん14.2%(N=19人)、卵巣がん10.4%(N=14人)、その他22.4%(N=30人)。 本試験の結果、主要評価項目である最大耐量(MTD)は1日1回Alpelisib400 mgまたは1日2回Alpelisib150mgであった。なお、13.2%(N=9人)の患者で用量制限毒性(DLT)が発現しており、その内訳は高血糖(N=6人)、吐き気(N=2人)、高血糖と低リン酸血症(N=1人)であった。また、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血糖51.5%、吐き気50.0%、食欲減退41.8%、下痢40.3%、嘔吐31.3%。 副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は全患者群(N=134人)で6.0%(95%信頼区間:2.6-11.4%,N=8人)、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がん患者群(N=23人)で4.3%(95%信頼区間:0.1-21.9%,N=1人)、大腸がん患者群(N=35人)で5.7%(95%信頼区間:0.7-19.2%,N=2人)、頭頸部がん患者群(N=19人)で0%を示した。 また、6ヶ月以上病勢安定(SD)+部分奏効(PR)+完全奏効(CR)が続く状態として定義される臨床的有用性(CBR)は全患者群(N=134人)で15.7%(95%信頼区間:10.0-23.0%,N=21人)、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がん患者群(N=23人)で17.4%(95%信頼区間:5.0-38.8%,N=4人)、大腸がん患者群(N=35人)で8.6%(95%信頼区間:1.8-23.1%,N=3人)、頭頸部がん患者群(N=19人)で10.5%(95%信頼区間:1.3-33.1%,N=2人)を示した。 以上の第I相試験の結果よりDejan Juric氏らは以下のように結論を述べている。”Alpelisibは忍容性のある治療方法であり、PIK3CA変異を有する進行固形がん患者に対して有望な選択肢になり得るでしょう。” Phosphatidylinositol 3-Kinase α–Selective Inhibition With Alpelisib (BYL719) in PIK3CA-Altered Solid Tumors: Results From the First-in-Human Study(DOI: 10.1200/JCO.2017.72.7107 Journal of Clinical Oncology - published online before print February 5, 2018)
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山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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