標準治療歴のある進行性固形がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)+キイトルーダ、忍容性は良好で奏効率(RR)13.2%を示す医学誌『Journal of Clinical Oncology (JCO)』より


  • [公開日]2018.03.28
  • [最終更新日]2018.03.28

2018年2月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて進行性固形がん患者に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)+ペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)の安全性有効性を検証した第I相の臨床試験NCT02608385)結果がThe University of Chicago・Jason J. Luke氏らより公表された。

本試験は、転移個数2から4個の標準治療歴のある18歳以上の進行性固形がん患者(N=73人)に対して放射線量30-50Gyの体幹部定位放射線治療(SBRT)+その7日後に3週間に1回の投与間隔でキイトルーダ200mgを病勢進行または用量制限毒性DLT)を発現するまで投与を継続し、主要評価項目として体幹部定位放射線治療(SBRT)開始後3ヶ月以内に発症したグレード3以上の有害事象(AE)である解剖学的位置別の用量制限毒性(DLT)、副次評価項目としてグレード3以上の有害事象(AE)の発現率RECIST1.1に基づいた奏効率(RR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した第I相試験である。

なお、体幹部定位放射線治療(SBRT)の標的となる転移腫瘍は直径5cm以内、転移個数は4個以内であり、65mLより大きい容積のある転移腫瘍のみが体幹部定位放射線治療(SBRT)の標的である。また、体幹部定位放射線治療(SBRT)の放射線量は解剖学的位置により異なり、末梢肺、肝臓、腹部/骨盤で45Gy、中心肺、縦隔/頸部で50Gy、骨、脊柱/傍脊柱で30Gyである。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値62.0歳(19-89歳)、EGOG Performance Statusスコア0が47.9%(N=35人)、1が52.1%(N=38人)、性別は男性60.3%(N=44人)、アルブミン中央値3.9g/dl(1.8-4.5)。原発腫瘍部位は、卵巣がん12.3%(N=9人)、非小細胞肺がん9.6%(N=7人)、乳がん8.2%(N=6人)、乳がん8.2%(N=6人)、胆管がん8.2%(N=6人)、子宮内膜がん8.2%(N=6人)、大腸がん8.2%(N=6人)、頭頸部がん8.2%(N=6人)、その他41.2%(N=30人)。なお、全てのがん患者はステージIVである。

体幹部定位放射線治療(SBRT)による患者の腫瘍転移個数として2個は94.5%(N=69人)、3個は4.1%(N=3人)、4個は1.3%(N=1人)。照射を受けた解剖学的位置としては1部位が35.6%(N=26人)、2部位以上が64.4%(N=47人)である。解剖学的位置の内訳としては末梢肺(N=30人)、腹部/骨盤(N=28人)、中心肺(N=23人)、縦隔/胸郭(N=24人)、肝臓(N=24人)、骨(N=16人)、脊椎(N=15人)である。

上記背景を有する患者に対する本治療の結果、主要評価項目である用量制限毒性(DLT)を発症した期間中央値は5.5ヶ月(3.3-8.1ヶ月)、体幹部定位放射線治療(SBRT)を受けた全ての患者は放射線量の減量を実施しなかった。しかし、6人の患者で重篤な有害事象(SAE)を発症しており、その内訳としてはグレード3の肺炎(N=3人)、グレード3の大腸炎(N=2人)、グレード3の肝毒性(N=1人)である。なお、重篤な有害事象(SAE)を発症した患者は全て、体幹部定位放射線治療(SBRT)による治療を受けた転移の個数は2個であった。

副次評価項目である奏効率(RR)は13.2%(N=9/68人)、その内訳としては8人の患者で部分奏効(PR)、21人の患者で病勢安定SD)、38人の患者で病勢進行(PD)を示した。そして、体幹部定位放射線治療(SBRT)が実施された腫瘍と実施されていない腫瘍別の腫瘍径変化率は、前者が-21.7%であるのに対して後者が1.7%、統計学的有意な変化率を示した(P=0.00008)。また、その他副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は3.1ヶ月(95%信頼区間:2.9-3.4ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は9.6ヶ月(95%信頼区間:6.5ヶ月-未到達)であった。

以上の結果よりJason J. Luke氏らは以下のような結論を述べている。”進行性固形がん患者さんに対して体幹部定位放射線治療(SBRT)+キイトルーダ併用療法忍容性が本試験により証明されました。今後は、体幹部定位放射線治療(SBRT)、キイトルーダの効果予測因子となるマーカーを探索的に検証していく必要があります。”

Safety and Clinical Activity of Pembrolizumab and Multisite Stereotactic Body Radiotherapy in Patients With Advanced Solid Tumors(DOI: 10.1200/JCO.2017.76.2229 Journal of Clinical Oncology – published online before print February 13, 2018)

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