BRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺がん適応としてタフィンラーとメキニスト併用療法が承認


  • [公開日]2018.03.23
  • [最終更新日]2018.03.23

2018年3月23日、ノバルティス ファーマ株式会社は、ダブラフェニブタフィンラー)およびトラメチニブメキニスト)の併用療法について、BRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの治療薬として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表した。

近年、非小細胞肺がん治療は、がんの原因となる遺伝子の解明が進んでおり、関与する分子を治療標的とすることで、治療効果の期待できる患者さんをあらかじめ特定し、治療成績を向上させるというプレシジョン・メディシンが浸透してきた。特に、EGFR遺伝子変異(30~40%)、ALK遺伝子変異(5%)、ROS1遺伝子変異(1~2%)を標的とした分子標的薬に承認され実臨床で使用されている。しかしながら、非小細胞肺がんの1%とされるBRAF V600E遺伝子変異を標的とされた治療は存在しなかった。

今回の承認されたBRAF阻害薬タフィンラーやMEK阻害薬メキニストは、BRAF V600E遺伝子変異の分子標的薬となり、すでにBRAF V600E遺伝子変異陽性の悪性黒色腫にて承認されている。

今回の承認は、BRAF V600E遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者(白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者57 名、化学療法歴のない患者36 名)を登録した国際共同第II相臨床試験(E2201試験:第II相非盲検非対照試験)におけるタフィンラーとメキニスト併用療法の安全性有効性の評価に基づいている。タフィンラー・メキニスト併用患者57名の化学療法歴のある患者の奏効率ORR)は、63.2%、化学療法歴のない患者のORRは、61.1%だった。

E2201試験において、タフィンラーおよびメキニストの併用投与を受けた患者さんで観察された主な副作用は、発熱(49.5%)、悪心(38.7%)、嘔吐(26.9%)、皮膚乾燥(26.9%)等だった。

コンパニオン診断薬は承認されておらず、ノバルティス社は承認までの検査結果提供プログラムを準備中

しかしながら、「タフィンラー」「メキニスト」併用療法には、BRAF V600E遺伝子変異を特定するためのコンパニオン診断薬として、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ・ライフテクノロジーズジャパン株式会社の「オンコマイン Dx Target Test CDxシステム」を使用する必要がある。

そのため、ノバルティス社では、「タフィンラー」「メキニスト」併用療法での治療を必要とする可能性のある非小細胞肺がん患者を対象として、一定期間、BRAF V600E遺伝子変異を特定するための当該診断検査にかかる費用をノバルティスが負担する「BRAF V600E検査結果提供プログラム」の実施を準備中となる。

(文:可知 健太)

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