非転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対するアンドロゲン除去療法+エンザルタミド、無転移生存期間(MFS)中央値36.6ヶ月を示す


  • [公開日]2018.03.19
  • [最終更新日]2018.03.20

2018年2月5日、非転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対してアンドロゲン除去療法+経口アンドロゲン受容体阻害薬であるエンザルタミドを投与し、有効性を検証した第III相のPROSPER試験(NCT02003924)の結果をアステラス製薬株式会社、ファイザー社は自社プレスリリースで公表した。

PROSPER試験とは、非転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者(N=1400人)に対してアンドロゲン除去療法+1日1回エンザルタミド160mgを投与する群、またはアンドロゲン除去療法+1日1回エンザルタミド160mgを投与する群、アンドロゲン除去療法+プラセボを投与する群に無作為振り分け、主要評価項目として無転移生存期間(MFS)、副次評価項目として前立腺特異抗原PSA)上昇までの期間、新たな抗がん剤治療を行うまでの期間、そして全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同二重盲検の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無転移生存期間(MFS)中央値はエンザルタミド投与群36.6ヶ月に対してプラセボ投与群14.7ヶ月、エンザルタミド投与群で転移または死亡のリスクが71%(ハザードリスク:0.29,95%信頼区間:0.24-0.35,p<0.0001)統計学的有意に減少することが証明された。

また、副次評価項目である前立腺特異抗原(PSA)上昇までの期間はエンザルタミド投与群で前立腺特異抗原(PSA)進行のリスクが93%(ハザードリスク:0.07,95%信頼区間:0.05-0.08,p<0.0001)統計学的有意に減少。新たな抗がん剤治療を行うまでの期間はエンザルタミド投与群でそのリスクが79%(ハザードリスク:0.21,95%信頼区間:0.17-0.26,p<0.0001)統計学的有意に減少。全生存期間(OS)中央値はエンザルタミド投与群、プラセボ投与においても未到達であるが、エンザルタミド投与群で死亡のリスクが20%(ハザードリスク:0.80,95%信頼区間:0.58-1.09,p=0.1519)減少を示した。

一方の安全性は、既存のエンザルタミドで確認されている安全性プロファイルと一致していた。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はエンザルタミド投与群31%、プラセボ投与群23%確認された。2%以上の発現が確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧(イクスタンジ投与群5%,プラセボ投与群2%)、疲労(3%,1%)であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)のため治療中止になった患者割合はイクスタンジ投与群9%、プラセボ投与群6%であった。

以上のPROSPER試験の結果より、Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern University・Maha Hussain氏は以下のように述べている。”非転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対して病勢進行を抑制する治療ニーズは非常に高いです。しかし、今日までそのような治療方法は承認されておりません。アンドロゲン除去療法+エンザルタミド併用療法により無転移生存期間(MFS)を統計学的有意に延長することが証明されましたので、このような患者に対する新しい治療選択肢になるでしょう。”

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