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非転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤アパルタミド、無転移生存期間(MFS)を統計学的有意に延長

[公開日] 2018.02.20[最終更新日] 2018.02.20

2018年2月8日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてハイリスク非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤であるアパルタミド(ARN-509)+アンドロゲン除去療法(ADT)の有効性をプラセボ+アンドロゲン除去療法(ADT)と比較した第III相のSPARTAN試験(NCT01946204)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer Center・Matthew R. Smith氏らにより公表された。 SPARTAN試験とは、ハイリスク非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者(N=1207人)に対して1日1回アパルタミド240mg+アンドロゲン除去療法(ADT)を投与する群(N=806人)、またはプラセボ+アンドロゲン除去療法(ADT)を投与する群(N=401人)に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無転移生存期間(MFS)、副次評価項目として転移までの期間、無増悪生存期間(PFS)、症状増悪までの期間(TSP)を比較検証した多施設共同二重盲検化の第III相試験である。 本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はアパルタミド群74歳(48-94歳)、プラセボ群74歳(52-97歳)、前立腺特異抗原(PSA)倍加時間中央値はアパルタミド群4.4ヶ月、プラセボ群4.5ヶ月。骨代謝薬を使用している患者はアパルタミド群10.2%(N=82人)、プラセボ群9.7%(N=39人)など、両群間における患者背景に大きな差はなかった。 以上の背景を有する患者に対する本試験の結果、主要評価項目である無転移生存期間(MFS)中央値はアパルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)群40.5ヵ月に対して、プラセボ+アンドロゲン除去療法(ADT)群16.2ヶ月、プラセボ群に比べてアパルタミド群と投与することで転移及び死亡のリスク(MFS)が72%統計学的有意に減少(ハザードリスク比:0.28,95%信頼区間:0.23~0.35,p<0.0001)することが示された。 副次評価項目である転移までの期間中央値はアパルタミド群40.5ヶ月、プラセボ群16.6ヶ月(ハザードリスク比:0.27,95%信頼区間:0.22~0.34,p<0.001)、無増悪生存期間(PFS)中央値はアパルタミド群40.5ヶ月、プラセボ群14.7ヶ月(ハザードリスク比:0.29,95%信頼区間:0.24~0.36,p<0.001)、症状増悪までの期間(TSP)中央値はアパルタミド群未到達、プラセボ群未到達(ハザードリスク比:0.45,95%信頼区間:0.32~0.63,p<0.001)を示した。 なお、探索的評価項目として前立腺特異抗原(PSA)憎悪までの期間中央値、二次無憎悪生存期間(PFS2)も検証しており、プラセボ群に比べてアパルタミド群で前立腺特異抗原(PSA)憎悪までの期間におけるリスクが94%減少(ハザードリスク比:0.06,95%信頼区間:0.05~0.08)、二次無憎悪生存期間(PFS2)におけるリスクが51%減少(ハザードリスク比:0.49,95%信頼区間:0.36~0.66)を示した。 一方の安全性として、最も確認されたグレード3および4の治療関連有害事象(TRAE)は、皮疹(アパルタミド群5.2%/プラセボ群0.3%)転倒(1.7%/0.8%)、骨折(2.7%/0.8%)。なお、治療関連有害事象(TRAE)のために治療が中止になった割合は、アパルタミド群11%、プラセボ群7%。治療関連有害事象(TRAE)のために死亡した割合はアパルタミド群1.2%、プラセボ群0.3%。 以上のSPARTAN試験の結果よりMatthew R. Smith氏らは以下のように結論を述べている。”非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対するアパルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)の結果より、無転移生存期間を初めて延長し、良好な転帰が得られる可能性を示唆しました。本試験の結果より、アパルタミドが非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対する新しい標準治療になり得ることが示唆されました。” Apalutamide Treatment and Metastasis-free Survival in Prostate Cancer (The New England Journal of Medicine, February 8, 2018 DOI: 10.1056/NEJMoa1715546)
ニュース 前立腺がん アパルタミド

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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