BRAF遺伝子変異を有する転移性大腸がん患者に対するアービタックス+エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、全奏効率(ORR)41%を示すASCO-GI2018より


  • [公開日]2018.02.19
  • [最終更新日]2018.02.19

2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、BRAF遺伝子変異を有する転移性大腸がんに対するセツキシマブ(商品名アービタックス;以下アービタックス)+BRAF阻害薬であるエンコラフェニブ+MEK阻害薬であるビニメチニブ併用療法の有効性を検証した第III相のBEACON CRC試験(NCT02928224)の結果がUniversity Hospitals Leuven in Belgium・Eric Van Cutsem氏らにより公表された。

BEACON CRC試験とは、1もしくは2レジメンの治療歴のあるBRAF遺伝子変異を有する転移性大腸がん患者に対して28日を1サイクルとして1週間に1回アービタックス250 mg/m2(初回のみ400 mg/m2)+1日1回エンコラフェニブ300mg+1日2回ビニメチニブ45mg併用療法を投与する群、アービタックス+イリノテカン併用療法を投与する群、アービタックス+FOLFIRI併用療法を投与する3群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間OS)、用量制限毒性DLT)など、副次評価項目として全奏効率ORR)などを検証したオープンラベルの第III相試験である。

なお、本ポスターセッションではアービタックス+エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法により治療された30人の患者における治療期間5.6ヶ月時点(1.0–9.3)における結果が公表されており、発表時点の現在も22人(76%)が治療中である。

本試験の結果、副次評価項目である全奏効率(ORR)41%、その奏効率の内訳としては完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)11人、安定SD)9人であった。また、腫瘍マーカーであるCEA、CA19-9も本試験に登録された28人の患者で測定されており、CEAは96%、CA19-9は82%の患者でそれぞれマーカー値の減少が確認された。

また、奏効期間5.6ヶ月を超える15人の患者における腫瘍マーカー値の減少は奏効が確認された6人の患者においてはCEAは97%から79%、CA19-9は92%から82%を示したのに対して、安定(SD)が確認された9人の患者においてもCEAは84%から68%、CA19-9は89%から68%の減少を示した。

以上のBEACON CRC試験の結果より、Eric Van Cutsem氏らは以下のような結論を述べている。”BRAF遺伝子変異を有する転移性大腸がん患者に対するアービタックス+エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法は全奏効率(ORR)41%を示しました。また、腫瘍マーカーであるCEA、CA19-9においては、奏効を示した患者同様に安定(SD)状態の患者においても顕著な減少傾向を示しました。”

BEACON CRC study safety lead-in (SLI) in patients with BRAFV600E metastatic colorectal cancer (mCRC): Efficacy and tumor markers.(ASCO-GI2018, Abstract No.627)

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