dMMRまたはMSI-H転移性大腸がんに対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法、客観的奏効率(ORR)55%を示すASCO-GI2018より


  • [公開日]2018.02.16
  • [最終更新日]2018.02.16

2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のオーラルセッションにて、DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR;以下dMMR)、またはマイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H;以下MSI-H)転移性大腸がん患者に対するニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+イピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法有効性を検証した第II相のCheckMate-142試験(NCT02060188)の結果がSt. Antoine Hospital・Thierry Andre氏らにより公表された。

CheckMate-142試験とは、dMMRまたはMSI-H転移性大腸がん患者(N=119人)に対して3週間に1回を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kgを4サイクル投与後、2週間に1回の投与間隔でオプジーボ3mg/kgを病勢進行または死亡などの理由により投与継続が困難になるまで投与し、主要評価項目として治験医師判定による客観的奏効率ORR)、副次評価項目として完全奏効(CR)+部分奏効(PR)+安定(SD)の状態が12週間以上継続すると定義された病勢コントロール率DCR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存率PFS)、全生存率(OS)を検証したオープンラベルの第II相試験である。

なお、本試験の中間報告は2017年6月2日から5日にアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で既に発表されており、当時は84人の患者を対象とした結果であったが今回の発表では試験に参加した全ての119人を対象としている。

本試験のフォローアップ期間13.4ヶ月時点における結果、主要評価項目である治験医師判定による客観的奏効率(ORR)は55% (95%信頼区間:45.2-63.8)を示した。なお、客観的奏効率(ORR)を達成した55%の患者はBRAF遺伝子変異陽性であった。

また、病勢コントロール率(DCR)は80%(N=95人)、奏効持続期間(DOR)は未到達を示した。その他評価項目として9ヶ月無増悪生存率(PFS)、9ヶ月全生存率(OS)はそれぞれ76%、87%を示した。

一方の安全性としては、オプジーボ+ヤーボイ併用療法の投与による治療関連有害事象(TRAE)は73%の患者で確認された。最も一般的な有害事象(AE)は下痢22%、疲労18%、掻痒17%であり、オプジーボ、ヤーボイでそれぞれ過去に報告されている安全性プロファイルと一致していた。

以上のCheckMate-142試験の結果より、Thierry Andre氏らは以下のように結論を述べている。”dMMRまたはMSI-H転移性大腸がん患者に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法は持続性ある高い臨床効果を示しました。dMMRまたはMSI-H転移性大腸がんは転移性大腸がんに比べて治療成績が良好でないですが、オプジーボ+ヤーボイ併用療法がこのようなバイオマーカーに対して有効であると示されましたので、今後は治療成績が向上していくでしょう。”

Nivolumab + ipilimumab combination in patients with DNA mismatch repair-deficient/microsatellite instability-high (dMMR/MSI-H) metastatic colorectal cancer (mCRC): First report of the full cohort from CheckMate-142.(ASCO-GI2018, Abstract No.553)

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