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乳がんの発症リスクを増加させる遺伝子変異はBRCA1/BRCA2以外にもMSH6、PMS2がある

[公開日] 2018.02.15[最終更新日] 2018.02.15

2018年1月18日、医学誌『Genetics in Medicine』にてリンチ症候群と乳がんの発症リスクの関連性について検証したレトロスペクティブ試験の結果がGeneDx・Maegan E Roberts MS氏らにより公表された。 長年、リンチ症候群は乳がんの発症リスクを増加させると考えられてきたがその主張を裏付ける十分な科学的根拠はなかった。そこで、本試験ではリンチ症候群の原因遺伝子として同定されているMLH1遺伝子(N=65人)、MSH2遺伝子(N=94人)、MSH6遺伝子(N=140人)、PMS2遺伝子(N=124人)の4種類の遺伝子を有する女性(N=423人)を対象に、一般的な人口と比べた時のリンチ症候群の原因遺伝子を有する女性の標準化罹患率(SIR)をレトロスペクティブに検証している。なお、標準化罹患率(SIR)とは性別、年齢などの人口構成の違いを除去し、死亡率を比較するための指標である。 本試験の結果、標準化罹患率(SIR)はMSH6遺伝子を有する群2.11(95%信頼区間:1.56–2.86)、PMS2遺伝子を有する群2.92(95%信頼区間:2.17–3.92)を示し、これら遺伝子変異は乳がんの発症リスクを統計学的有意に増加させることが判った。一方、MLH1遺伝子を有する群の標準化罹患率(SIR)は0.87(95%信頼区間:0.42–1.83)、MSH2遺伝子を有する群1.22(95%信頼区間:0.72–2.06)を示し、これら遺伝子変異と乳がんの発症リスクの統計学的有意な関連性は確認されなかった。 以上のレトロスペクティブ試験の結果より、Maegan E Roberts MS氏らは以下のように結論を述べている。”MSH6遺伝子、PMS2遺伝子を有する群は乳がんの発症リスクを統計学的有意に増加することが本試験より証明されました。この試験結果より、乳がん発症を過去に発症した患者、または家族に乳がんを発症した患者がいる場合にはBRCA1/BRCA2遺伝子変異検査に加えて、MSH6遺伝子、PMS2遺伝子の有無を調べる検査も追加すべきです。” MSH6 and PMS2 germ-line pathogenic variants implicated in Lynch syndrome are associated with breast cancer(GENETICS in MEDICINE, Published online: 18 January 2018)
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山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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