治療歴のある腎細胞がんに対するカボザンチニブ、アフィニトールと同じ程度に健康関連生活の質(QOL)を維持するJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2018.02.09
  • [最終更新日]2018.02.09

2018年1月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のある腎細胞がん患者に対してカボザンチニブ(XL184)の生活の質QOL)を検証した第III相のMETEOR試験(NCT01865747)の結果がNorthwestern University Feinberg School of Medicine・David Cella氏らにより公表された。

METEOR試験とは、血管内皮増殖因子(VEGF)系阻害薬の治療歴のある腎細胞がん患者(N=658 人)に対して1日1回カボザンチニブ60mg単剤療法を投与する群、または1日1回エベロリムス10mg(商品名アフィニトール;以下アフィニトール)単剤療法を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)を比較検証した多施設共同オープンラベルの第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)全てにおいてアフィニトールよりもカボザンチニブで改善することが証明されている。以上の背景より、本試験ではがん治療機能評価の基準である腎臓がん症状指標FKSI-19、FKSI-DRS、EQ-5D-5Lを用いて患者の自己申告により生活の質(QOL)を比較検証している。その他、健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)を早期死亡、病勢進行(PD)、そしてFKSI-DRSが4ポイント以上の低下発症時点として定義して比較検証している。

本試験に登録された健康関連生活の質(QOL)の患者背景として、FKSI-19スコア中央値はカボザンチニブ群56.7、アフィニトール群57.1であり、アメリカ合衆国の成人のFKSI-19スコア中央値は59.8であることから酷似していた。また、FKSI-DRSスコア中央値はカボザンチニブ群29.1、アフィニトール群29.3であり、アメリカ合衆国の成人のFKSI-DRSスコア中央値は29.5であることから酷似していた。

健康関連生活の質(QOL)の背景を有する患者に対してカボザンチニブ(N=324)、アフィニトール(N=313)を投与し、調査期間中央値17週間、13週時点における健康関連生活の質(QOL)の結果は上述の通りである。FKSI-19、FKSI-DRS、EQ-5D-5Lにより測定されたカボザンチニブ、アフィニトールをそれぞれ投与された患者の健康関連生活の質(QOL)スコアは、両群間において統計学的有意な違いはなかった。

一方で、FKSI-19スコアの項目別に健康関連生活の質(QOL)を解析したところ、カボザンチニブ投与群では下痢、吐気によるスコア低下が確認され、アフィニトール投与群では息切れによるスコア低下がそれぞれ確認されている。

また、健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)中央値はカボザンチニブ投与群5.5ヶ月に対してアフィニトール投与群3.7ヶ月、カボザンチニブ投与により健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)が統計学的有意に延長(P < .001)することが示された。

特に、サブグループ解析によれば骨転移を有する患者群における健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)中央値はカボザンチニブ投与群5.6ヶ月に対してアフィニトール投与群1.9ヶ月、健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)の統計学的有意な延長(P < .001)が顕著であった。なお、この改善の理由としては、カボザンチニブ投与によるFKSI-DRSの改善よりも、早期死亡、病勢進行(PD)の改善のためであった。

以上のMETEOR試験の結果より、David Cella氏らは以下のように結論を述べている。”カボザンチニブはアフィニトール同様に患者さんの生活の質(QOL)を治療期間中に維持します。さらに、健康関連生活の質(QOL)の悪化あるいは死亡までの期間(TDD)においては、カボザンチニブ群で顕著な改善が確認されました。”

Quality of Life Outcomes for Cabozantinib Versus Everolimus in Patients With Metastatic Renal Cell Carcinoma: METEOR Phase III Randomized Trial (Journal of Clinical Oncology – published online before print January 29, 2018)

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