ステージIII胃がん日本人患者に対する術後化学療法としてのCAPOX療法、SOX療法の有効性は同等であるASCO-GI2018より


  • [公開日]2018.01.24
  • [最終更新日]2019.11.18

2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、D2リンパ節郭清後のステージIII胃がん患者に対する術後化学療法としてのカペシタビン(商品名ゼローダ;以下ゼローダ)+オキサリプラチン併用療法(CAPOX;以下CAPOX)、またはテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合(商品名ティーエスワン;以下ティーエスワン)+オキサリプラチン併用療法(SOX;以下SOX)の2つの治療レジメン有効性を検証した第II相のJ-CLASSIC試験、SOXaGC試験(UMIN000026883)の統合解析の結果が国立がん研究センター東病院消化管内科・中村能章氏らにより公表された。

J-CLASSIC試験とは、D2リンパ節郭清後のステージIIまたはIII胃がん患者に対する術後化学療法として3週間を1サイクルとして1-14日間ゼローダ2000mg/m2+1日目にオキサリプラチン130mg/m2併用療法を8サイクル投与する群、または術後補助化学療法を投与しない群に無作為に振り分け、主要評価項目である無増悪生存期間PFS)を比較検証した非盲検多施設共同の第II相試験である。

SOXaGC試験とは、D2リンパ節郭清後のステージIII胃がん患者に対する術後化学療法として3週間を1サイクルとして1-14日間ティーエスワン80mg+1日目にオキサリプラチン130mg/m2併用療法を8サイクル(オキサリプラチンは1サイクル目は投与しない)投与し、無増悪生存期間(PFS)を検証した第II相試験である。

今回の統合解析では上記2試験フォローアップ期間中央値J-CLASSIC試験では49ヶ月、SOXaGC試験では39ヶ月時点における無再発生存率(RFS)、全生存率(OS)を検証している。

本試験の結果、ステージIII胃がん患者に対する術後化学療法としてのCAPOX療法(N=59人)の患者における3年無再発生存率(RFS)、3年全生存率(OS)はそれぞれ67.8%(95%信頼区間:54.3-78.1%)、79.3%(95%信頼区間:66.5-87.7%)を示した。また、ステージIII胃がん患者に対する術後化学療法としてのSOX療法(N=62人)の患者における3年無再発生存率(RFS)、3年全生存率(OS)はそれぞれ70.9%(95%信頼区間:57.8-80.5%)、75.7%(95%信頼区間:63.0-84.6%)を示した。

そして、CAPOX療法に対するSOX療法の無再発生存(RFS)リスクのハザード比は0.925(0.498-1.720)を示し、2つの化学療法の有効性は同等であることを示した。

一方で、サブグループ解析では患者背景によりCAPOX療法とSOX療法の間で有効性に差異が確認されている。例えば、腸型(intestinal type)、びまん型(diffuse type)のように組織型が異なることで無再発生存(RFS)リスクのハザード比は異なる傾向を示した。腸型(intestinal type)におけるCAPOX療法に対するSOX療法の無再発生存(RFS)リスクのハザード比は1.73(95%信頼区間:0.51-5.93)、びまん型(diffuse type)では0.74(95%信頼区間:0.35-1.53)を示した。

他にも、ステージIIIA、IIIB、IIICのようにステージ分類が異なることで無再発生存(RFS)リスクのハザード比は異なる傾向を示した。ステージIIIAにおけるCAPOX療法に対するSOX療法の無再発生存(RFS)リスクのハザード比は2.008 (95%信頼区間:0.447-9.016)、ステージIIIBでは0.872(95%信頼区間:0.266-2.857)、ステージIIICでは0.597(95%信頼区間:0.258-1.383)を示した。

以上の第II相のJ-CLASSIC試験、SOXaGC試験の統合解析の結果より、中村能章氏らは以下のように結論を述べている”本試験は日本人胃がん患者に対するオキサリプラチンベースの術後化学療法の生存率を検証した初の試験である。ステージIII胃がん患者さんに対するCAPOX療法、SOX療法の有効性は同等であることを示したが、組織型が異なったりステージ分類が異なることで無再発生存(RFS)リスクのハザード比が異なることが示された。そのため、大規模試験によりさらなる検証が必要でしょう。”

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