転移性胃がんの一次治療としてのサイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法、標準治療よりも無増悪生存期間を有意に改善するも生存期間に寄与しない


  • [公開日]2017.12.28
  • [最終更新日]2017.12.28

2017年12月8日、HER2陰性転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対する一次治療としてのラムシルマブ(商品名サイラムザ;以下サイラムザ)+シスプラチン+カペシタビン(商品名ゼローダ;以下ゼローダ)併用療法有効性を検証した第III相試験のRAINFALL試験(NCT02314117)の結果をイーライリリー・アンド・カンパニーが自社のプレスリリースで公表した。

RAINFALL試験とは、HER2陰性転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者(N=645人)に対して21日を1サイクルとして1日目、8日目にサイラムザ8mg/kg+1日目にシスプラチン80mg/m2(最長6サイクル)+1日目から14日目まで1日2回のゼローダ1000mg/m2併用療法を投与する群、または21日を1サイクルとして1日目、8日目にプラセボ8mg/kg+1日目にシスプラチン80mg/m2(最長6サイクル)+1日目から14日目まで1日2回のゼローダ1000mg/m2併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)などを検証した国際多施設共同二重盲検比較の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はプラセボ+シスプラチン+ゼローダ併用療法に比べてサイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法で統計学的有意に改善することが示された。しかし、副次評価項目である全生存期間(OS)についてはプラセボ+シスプラチン+ゼローダ併用療法に対するサイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法の優越性は示されていない。

一方の安全性としては、それぞれの薬剤で確認されていた安全性プロファイルと一貫しており、サイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法で新たに確認された副作用はなかった。また、プラセボ+シスプラチン+ゼローダ併用療法に比べてサイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法の方が5%以上多く確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は高血圧、手足症候群、疲労であった。

RAINFALL試験の結果を受けて、イーライリリー・アンド・カンパニー・オンコロジーグローバル開発・メディカル部門担当シニアバイスプレジデントであるLevi Garraway氏は以下のように述べている。”ここ10年間、HER2陰性転移性胃がん患者さんに対する一次治療として新たな標準治療レジメンが開発されなかった事実が、RAINFALL試験で証明したサイラムザの有用性を示しています。引き続き、進行性胃がん二次治療の標準治療であるサイラムザを世界中の患者さんに届ける努力に励みます。最後に、RAINFALL試験に参加協力して頂けた被験者、治験医師に感謝を申し上げます。”.

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