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大腸がん診断後に穀物、野菜などの食品より食物繊維量を増加させることで死亡率が低減
[公開日] 2017.12.15[最終更新日] 2017.12.15
2017年11月2日、医学誌『JAMA Oncology』にて大腸がんと診断された後の食物繊維摂取量と死亡率の関係についてを検証した前向きコーホート研究の結果が公表された。
本研究は、Nurses’ Health試験、Health Professionals Follow-up試験の2つのコーホートより成るステージ1から3の非転移性大腸がんと診断された患者(N=1575人)を対象に、大腸がんによる死亡率、その他の要因による死亡率と食物繊維摂取量の関係を検証した前向きコーホート研究である。
なお、Nurses’ Health試験には1976年時点で30-55歳であった女性看護師121,700人が登録されており、その内963人が本研究に参加。また、Health Professionals Follow-up試験には1986年時点で40-75歳であった男性医療関係者51,529人が登録されており、その内612人が本研究に参加している。
本研究の参加者は治療歴、日々の生活に関するアンケート調査を2年毎に受けている。また、食事に関しては4年毎にアンケート調査が実施されており、食物繊維の摂取量、食物繊維を摂取した食品、全粒粉の摂取量に関しては大腸がんと診断されてから6ヶ月から4年以内にアンケート調査が実施されている。なお、本研究では食物繊維の摂取量の基準値をNurses’ Health試験においては1980年時点、Health Professionals Follow-up試験においては1986年時点に設定している。
本研究に登録されて患者(N=1575人)背景は、大腸がんと診断された時点の年齢中央値は68.6歳、女性61%である。フォローアップ期間中央値は8年、合計で773人の死亡が確認され、その内大腸がんによる死亡は22.5%(N=174人)であった。
本研究の結果、大腸がんと診断された後に食物繊維摂取量の多い患者は死亡率が低率であることが判った。また、食物繊維の摂取量が1日5g増加することで大腸がんによる死亡のハザード比は0.78(95%信頼区間:0.65-0.93,P = 0.006)、その他の要因による死亡のハザード比は0.86(95%信頼区間:0.79-0.93,P< 0.001)ずつ減少していた。
そして、大腸がん診断前における食物繊維摂取量の基準値よりも診断後にその摂取量が増加した患者の死亡率は低くなる傾向が確認され、食物繊維摂取量が1日5g増加することで大腸がんによる死亡のハザード比は0.82(95%信頼区間:7%-28%,P = 0.002)、その他の要因による死亡のハザード比0.86(95%信頼区間:8%-19%,P < 0.001)ずつ減少していた。
また食物繊維を摂取した食品群別による死亡率としては、穀物による食物繊維摂取量の増加は大腸がんによる死亡のリスク(1日5g増加する毎のハザード比:0.67,95%信頼区間:0.50-0.90,P = 0.007)、その他の要因による死亡のリスク(1日5g増加する毎のハザード比:0.78,95%信頼区間:0.68-0.90,P < 0.001)を減少。野菜による食物繊維摂取量の増加はその他の要因による死亡のリスク(1日5g増加する毎のハザード比:0.82,95%信頼区間:0.60-1.13,P =0.22)を減少。果物による食物繊維摂取量の増加は死亡率との関係が確認されなかった。
そして、全粒粉の摂取量は大腸がんによる死亡のリスク(1日20g増加する毎のハザード比:0.72,95%信頼区間:0.59-0.88,P = 0.002)、その他の要因による死亡のリスク(1日20g増加する毎のハザード比:0.88,P = 0.008)を減少するも、対象患者群における食物繊維摂取量を調整して再度検証すると大腸がんによる死亡のリスク、その他の要因による死亡のリスクはそれぞれ低減していた。
以上の結果より、大腸がんと診断された後の食物繊維摂取量の増加は大腸がんによる死亡率、その他の要因による死亡率を減少させる因子として関係していることが本研究より証明された。また、大腸がんと診断された患者は診断前より食物繊維の摂取量を増加させることで、臨床的なベネフィットが得られる可能性があることも示唆された。
Fiber Intake and Survival After Colorectal Cancer Diagnosis(JAMA Oncol. Published online November 2, 2017)
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