再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)に対するベネトクラクス+リツキサン併用療法で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが83%減少59回米国血液学会議(ASH2017)より


  • [公開日]2017.12.15
  • [最終更新日]2017.12.15

2017年12月9日から12日までアメリカ合衆国ジョージア州アトランタで開催されている第59回米国血液学会議(ASH2017)にて、再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するベネトクラクス+リツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)併用療法有効性を検証した第III相MURANO試験(NCT02005471)の結果が公表された。

MURANO試験とは、少なくとも1回の治療歴のある再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=389人)に対してベネトクラクス+リツキサン併用療法を投与する群、またはベンダムスチン(商品名トレアキシン;以下トレアキシン)+リツキサン併用療法を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目である主治医判断による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である独立評価委員会による無増悪生存期間(PFS)、血球数の回復の有無を問わない血液学的完全寛解率(CR/CRi)、全奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、微小残存病変(MRD)の状態、奏効持続期間(DOR)などを検証した国際多施設共同オープンラベルの第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である主治医判断による無増悪生存期間(PFS)中央値はベネトクラクス+リツキサン併用療法群で未到達、トレアキシン+リツキサン併用療法群で17.0ヶ月、ベネトクラクス+リツキサン併用療法により病勢進行または死亡(PFS)リスクが83%(ハザード比:0.17、95%信頼区間:0.11-0.25、P<0.0001)統計学的有意に減少することが示された。

また、副次評価項目である独立評価委員会による病勢進行または死亡(PFS)リスクがベネトクラクス+リツキサン併用療法により81%(ハザード比:0.19、95%信頼区間:0.13-0.28、P<0.0001)統計学的有意に減少することが示された。それ以外の副次評価項目においては統計学的意義ある結果が確認されなかったが、血球数の回復の有無を問わない血液学的完全寛解率(CR/CRi)はベネトクラクス+リツキサン併用療法群26.8%に対してトレアキシン+リツキサン併用療法群8.2%、全奏効率(ORR)は93.3%に対して67.7%、全生存期間(OS)は両群共に未到達、微小残存病変(MRD)陰性率は83.5%に対して23.1%であった。

一方の安全性は、ベネトクラクス+リツキサン併用療法により新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の安全性プロファイルと一致していた。グレード3から4の有害事象(AE)は白血数減少がベネトクラクス+リツキサン併用療法群57.7%に対してトレアキシン+リツキサン併用療法群38.8%、赤血球減少が10.8%に対して13.8%、血小板減少が5.7%に対して10.1%、発熱を伴う白血球減少が3.6%に対して9.6%、肺炎が5.2%に対して8.0%、インフュージョンリアクションが1.5%に対して5.3%であった。

以上のMURANO試験の結果を受けて、F・ホフマン・ラ・ロシュ社の最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning博士は以下のように述べている。”本試験は、治療歴のある再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して化学療法なしに治療できる新しい治療選択肢を提案することになるでしょう。本試験により現在の標準治療に対するベネトクラクス+リツキサン併用療法の有用性を示したことを嬉しく思うとともに、今後我々は政府当局を相手に本効能での適応についての話し合いを進めていきます。”

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