免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)が、治療抵抗性軟部肉腫の新たな選択肢となる可能性を示した。特に、軟部肉腫の中で30%超を占める未分化多形肉腫、ならびに脂肪肉腫というサブタイプに効いた。テキサス大学MD AndersonがんセンターのHussein A Tawbi氏らが米国で実施中の第2相試験(SARC028、NCT02301039)の中間解析結果で、2017年10月4日のLancet Oncolオンラインで発表された。

試験SARC028:軟部肉腫と骨の肉腫を対象とする単群非無作為化非盲検試験

2015年3月13日から2016年2月18日までに18歳以上の軟部肉腫患者、および12歳以上の骨の肉腫患者を合計86例登録し、キイトルーダ200mgを3週ごとに静注した。登録例は組織学的に転移、または切除不能局所進行性であることを確認し、1種から3種の全身療法を受けても進行した患者に限定した。

その結果、データカットオフは2017年3月1日、追跡期間中央値は17.8カ月、有効性解析対象は軟部肉腫患者40例、骨の肉腫患者40例であった。主要評価項目であるRECIST判定による奏効率は、軟部肉腫患者集団が18%(完全奏効[CR]1例、部分奏効[PR]6例)、骨の肉腫患者集団が5%(PR 2例)であった。軟部肉腫の奏効7例のうち4例は未分化多形肉腫、2例は脂肪肉腫、1例は滑膜肉腫であった。骨の肉腫の奏効2例のうち1例は骨肉腫、1例は軟骨肉腫であった。免疫関連腫瘍反応(irRC)の判定基準でもRECIST判定とほぼ同様の結果が得られた。

主要評価項目:固形がん腫瘍反応判定基準RECIST

軟部組織肉腫のサブタイプ別のRECIST判定は次のとおりである。
・平滑筋肉腫(10例):病勢安定SD)6例、病勢進行(PD)4例
・未分化多形肉腫(10例):CR 1例、PR 3例、SD 3例、PD 3例
・脂肪肉腫(10例):PR 2例、SD 4例、PD 4例
・滑膜肉腫(10例):PR 1例、SD2例、PD7例

骨の肉腫のサブタイプ別のRECIST判定は次のとおりである。
・軟骨肉腫(5例):PR 1例、SD 1例、PD 3例
・Ewing肉腫(13例):SD 2例、PD 11例
・骨肉腫(22例):PR 1例、SD 6例、PD 15例

未分化多形肉腫の10例中7例、脂肪肉腫の10例中6例は12カ月間無増悪

軟部肉腫患者集団の無増悪生存(PFS)期間中央値は18週間で、12週間PFS率(55%)は予測閾値(40%)を有意に上回った(p=0.039)。未分化多形肉腫患者に限るとPFS期間中央値は30週間、12週間PFS率は70%にのぼった。脂肪肉腫患者でのPFS期間中央値は25週間、12週間PFS率は60%であった。

軟部肉腫患者集団の全生存期間OS)中央値は49週間で、未分化多形肉腫患者に限った解析ではOSの中央値特定には至っていない。骨の肉腫患者集団のPFS期間中央値は8週間で、解析時点で25例(63%)が病勢進行(PD)のため死亡、全生存期間(OS)中央値は52週間であった。軟骨肉腫患者に限った解析ではOSの中央値特定には至っていない。

PD-L1のバイオマーカー可能性は結論出せず

治療前の腫瘍生検解析対象70例中、PD-L1発現陽性はわずか3例(4%)で、この3例はすべて未分化多形肉腫患者であり、3例中1例に完全奏効(CR)、1例に部分奏効(PR)が得られた。未分化多形肉腫ではPD-L1発現とT細胞浸潤が相関するとの報告があるが、本試験の結果からも、未分化多形肉腫は炎症度の高い腫瘍の典型とも考えられ、PD-1標的抗体であるキイトルーダ単剤で効果が得られた理由として説明可能である。同様の結果が認められた別の試験報告もある。一方で、悪性黒色腫などを対象とする試験で報告されているように、本試験でもPD-L1発現陰性患者で奏効が得られている。したがって、バイオマーカーについては免疫組織化学的解析技術を駆使した詳細解析が必要である。

脂肪肉腫患者の奏効例もPD-L1発現は陰性であった。この奏効例は高悪性度サブタイプの脱分化型脂肪肉腫患者で、粘液型脂肪肉腫、または円形細胞型脂肪肉腫患者では奏効例が認められなかった。

以上の解析結果に基づき、未分化多形肉腫と脱分化型脂肪肉腫を患者登録拡大の対象に決定した。

安全性は承認済み適応症のがん種患者集団と同様

本試験で認められた有害事象は、キイトルーダの適応症としてすでに承認されている悪性黒色腫、非小細胞肺がん、古典的ホジキンリンパ腫患者で確認されているものと同様で、安全性に問題はなかった。特に、本試験の肉腫患者のほとんどが肺転移を伴い進行したにもかかわらず、間質性肺炎発現率が増加することはなかった。

グレード3以上の有害事象は、主に貧血、リンパ球数減少、活性化部分トロンボプラスチン時間延長であった。重篤な有害事象が認められた9例のうち、免疫関連事象が認められたのは5例で、副腎不全(2例)、間質性肺炎(2例)、および腎炎(1例)であった。

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