進行性食道がん対するキイトルーダ単剤療法、部分奏効率(PR)30%を達成するJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2017.12.07
  • [最終更新日]2017.12.07

2017年11月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて治療歴のある進行性食道がん患者に対するペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法有効性を検証したKEYNOTE-028試験(NCT02054806)の結果が公表された。

KEYNOTE-028試験とは、PD-L1陽性固形がん患者に対して2週間に1回の投与間隔でキイトルーダ10mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目としてRECIST1.1に基づく奏効率(RR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を検証したマルチコーホートの第Ib試験である。なお、本論文では食道または食道胃接合部の扁平上皮がん腺がんを対象としている。

本試験では83人の患者でPD-L1発現率が検証され、37人(45%)の患者でPD-L1陽性と診断され、その内23人の患者が試験に本登録されている。患者背景としては、年齢中央値65歳、扁平上皮がん87%、少なくとも前治療歴が2レジメン以上ある患者87%であった。

本試験におけるフォローアップ期間中央値7ヶ月(1-33ヶ月)における主要評価項目である奏効率(RR)の結果は、部分奏効率(PR)30%(N=7人)であった。また、扁平上皮がん患者における部分奏効率(PR)は28%(N=5/18人)、腺がん患者における部分奏効率(PR)は40%(N=2/5人)であった。そして、標的病変の縮小が52%(N=12人)の患者で確認された。

また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は1.8ヶ月、6ヶ月または12ヶ月無増悪生存率(PFS)はそれぞれ30%、22%であった。全生存期間(OS)中央値は7.0ヶ月、6ヶ月または12ヶ月全生存率(OS)はそれぞれ60%、40%であった。そして、初回奏効までの期間(TTR)中央値は4ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は15ヶ月であった。

一方の安全性として、治療下に発現した有害事象(TEAE)が39%の患者で発症し、最も一般的に発症が確認された有害事象(AE)としては皮膚障害13%、食欲減退9%、リンパ球減少9%であった。

また、グレード3の治療下に発現した有害事象(TEAE)は17%(N=4人)の患者で確認され、リンパ球減少9%、食欲減退、肝障害、皮疹がそれぞれ4%であった。なお、免疫関連有害事象としては26%(N=6人)の患者で発症し、甲状腺機能低下症9%(N=2人)、副腎不全、腸炎、甲状腺機能亢進症、全身性皮疹がそれぞれ4%(N=1人)であった。

以上の試験結果を受けて、本論文のファーストオーサーである国立がん研究センター東病院・先端医療科長である土井 俊彦氏をはじめとした治験医師は以下のように結論を述べている。”キイトルーダは複数の治療歴のあるPD-L1陽性進行性食道がん患者に対して持続的な抗腫瘍効果、また管理可能な毒性を示しました。”

Safety and Antitumor Activity of the Anti–Programmed Death-1 Antibody Pembrolizumab in Patients With Advanced Esophageal Carcinoma (Journal of Clinical Oncology – published online before print November 8, 2017)

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