324種類の遺伝子変異、2種のゲノムサインを一度に測定できるコンパニオン診断がFDAより承認される


  • [公開日]2017.12.07
  • [最終更新日]2018.01.23

2017年11月30日、 固形がんにおける324種の遺伝子変異、2種のゲノムサインを一度に特定する次世代シークエンサー(NGS)であるコンパニオン診断のFundationOneCDx(F1CDx)が米国食品医薬品局(FDA)より承認されたことをFoundation Medicine,Inc.が自社のプレスリリースで公表した。

また、米国食品医薬品局(FDA)の承認に併せ、FundationOneCDx(F1CDx)がメディケイドにとっても革新的な医療技術であることがメディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)より認められ、医療保険給付金の決定(National Coverage Determination,NCD)申請が提出された。なお、本申請結果の決定は2018年第1四半期を予定している。

FundationOneCDx(F1CDx)は、がん細胞の成長を促進させることで知られているEGFR、ALK、BRAF、KRASなど324種の遺伝子変異を一度にすべて測定し、医師が治療方針を決定するために必要な情報を提供する。

例えば、非小細胞肺がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、大腸がん、卵巣がん、乳がんと診断された患者は、現在承認されている17ある中の1つの治療薬に対して恩恵が得られることが遺伝子変異より明らかになる。

しかし、17ある中の12の治療薬が一次治療として適応があるにも関わらず、FundationOne CDx(F1CDx)承認以前は1人の患者に対して複数以上のコンパニオン診断を治療開始前に実施できなかった。

さらに、FundationOneCDx(F1CDx)は免疫療法効果予測因子として考えられているマイクロサテライト不安定性(MSI)、腫瘍変異負荷(Tumor mutation burden,TMB)など2種のゲノムサインも測定でき、現在の治療効果の判定に必要な情報も提供できる。

Foundation Medicine,Inc.が実施した包括的ゲノムプロファイリングテストによれば、5種類の一般的な進行性固形がんに罹患する患者3人の内1人は米国食品医薬品局(FDA)より承認されている治療薬が標的とする遺伝子変異に適合すると推定されている。

そして、FundationOneCDx(F1CDx)に基いて示された薬剤、その薬剤による恩恵が得られる患者の合致率は今後何倍も増加するであろう。それは、Foundation Medicine,Inc.と提携する製薬会社がFundationOneCDx(F1CDx)で測定できる遺伝子変異、ゲノムサインの種類の追加を米国食品医薬品局(FDA)に申請しているためである。

今日、約50%の新規抗がん剤バイオマーカーを標的として開発が進められている。そのため、FundationOneCDx(F1CDx)のようなコンパニオン診断の重要性は非常に大きいのである。

以上の米国食品医薬品局(FDA)によるFundationOneCDx(F1CDx)の承認を受けてLUNGevity FoundationのCEO兼会長であるAndrea Ferris氏は以下のように述べている。”ベストな治療選択肢を提供する包括的ゲノムプロファイリングテストが重要であることを理解しているにも関わらず、バイオマーカー検査を受けることができない多くのがん患者さんの存在を我々は知っています。米国食品医薬品局(FDA)によるこの度の承認は、多くのがん患者さんが治療効果の恩恵を受ける可能性の高い治療へ辿り着けることを意味します。また、臨床だけでなく治験段階よりがん患者さんが抗がん剤による恩恵を受けられる可能性が高まることでしょう。”

また、Cancer Treatment Centers of America(CTCA)のAnkur R. Parikh氏は以下のように述べている。”包括的ゲノムプロファイリングは個別化医療プレシジョンメディシン)の入り口です。米国食品医薬品局(FDA)、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)による今回の決定は、患者さんとその医療従事者が個別化医療(プレシジョンメディシン)による恩恵が得られるための重要な一歩です。遺伝子情報にアクセスできる環境下では、革新的で精度の高い治療選択肢が提供できるようになります。”

そして、Foundation Medicine,Inc.・CEOであるTroy Cox氏は以下のように述べている。”本日の米国食品医薬品局(FDA)、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)同時の審査結果は、がん患者の個別化医療に対して重要で巨大な進歩となるでしょう。FundationOneCDx(F1CDx)が承認されたことで、治験の基準に適合する患者を特定するだけでなく、米国食品医薬品局(FDA)より承認されている治療薬、がん免疫療法による恩恵が得られる患者を遺伝子情報に基づいて医師が把握できるようになることでしょう。そして、個別化医療を加速させる医薬品の開発をする製薬会社のプラットフォームとしての役割を、FundationOneCDx(F1CDx)が担うことを我々は期待しております。Foundation Medicine,Inc.を代表して、この度の米国食品医薬品局(FDA)、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)による勇気ある決断に対して感謝を述べたいです。”

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