2017年10月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology 』にて新規にがんと診断された青年男性の精子バンク普及率とその要因を検証した前向き観察研究調査の結果が公表された。

本観察研究はアメリカ合衆国またはカナダにある8つの小児がん拠点病院において、13歳から22歳(年齢中央値16.49歳)、思春期評価スケールであるTanner分類3度以上の青年男性146人に対して、がん治療開始1週間以内に精子バンク利用に関するアンケート調査を実施した。

なお、精子バンクの利用を希望する、希望しない、精子保存に成功する、失敗するなどの行動結果に対するオッズ比(ORs)、95%信頼区間(CI)は多変量ロジスティック回帰により分析している。

本試験の結果、146人中78人(53.4%)の青年男性が精子バンクの利用を希望し、146人中64人(43.8%)の青年男性が精子の凍結保存に成功した。また、精子バンクの利用希望に影響を与えた要因としては生殖能力に関する専門家の推奨(オッズ比29.96,95%信頼区間:2.48-361.41,P = .007)、両親からの推奨(オッズ比12.30,95%信頼区間:2.01-75.94,P = .007)、Tanner分類高度(オッズ比5.42,95%信頼区間:1.75-16.78,P = .003)であり、これら要因が精子バンクの利用率を向上させていた。

そして、精子保存の成功に影響を与えた要因としてはマスターベーションの経験(オッズ比5.99,95%信頼区間:1.25-28.50,P = .025)、自己効力感(オッズ比1.23,95%信頼区間:1.05-1.45,P = .012)、両親の推奨(オッズ比4.62,95%信頼区間:1.46-14.73,P = .010)、医療関係者の推奨(オッズ比4.26,95%信頼区間:1.45-12.43,P =0.008)であり、これら要因が精子保存の成功率を向上させていた。

以上の前向き観察研究調査の結果を受けて、本論文のファーストオーサーであるKlosky, James L氏は以下のような結論を述べている。”精子バンクの普及率はそこまで高くありませんが、精子バンクの利用を希望し、完遂するためには患者本人、その両親などの影響があることが証明されました。”

Prevalence and Predictors of Sperm Banking in Adolescents Newly Diagnosed With Cancer: Examination of Adolescent, Parent, and Provider Factors Influencing Fertility Preservation Outcomes(J Clin Oncol. 2017 Dec 1;35(34):3830-3836. Epub 2017 Oct 4.)


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