非扁平上皮非小細胞がん初回治療に新たな知見 ~免疫チェックポイント阻害薬/化学療法/アバスチン併用療法が有効性示す~PD-L1抗体テセントリクの新たなエビデンス


  • [公開日]2017.11.24
  • [最終更新日]2017.11.27

中外製薬株式会社は、改変型抗PD-L1抗体「アテゾリズマブ(商品名テセントリク)」に関し、化学療法未施行のステージIV非扁平上皮非小細胞肺がん(nonSq-NSCLC)患者さんを対象とした第III相臨床試験であるIMpower150試験(NCT02366143)において、テセントリク併用群(テセントリク+カルボプラチンパクリタキセルベバシズマブ併用)が化学療法併用レジメン群(カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ併用)と比較し、主要評価項目の一つである無増悪生存期間PFS)を統計学的に有意に延長したと発表した。

さらに、もう一つの主要評価項目である全生存期間OS)については、十分なイベント数に達していないものの期待が持てる結果であり、2018年の上期に次の解析結果が判明する予定とのことである。

テセントリク併用群の安全性プロファイルはこれまでに各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、当該併用レジメンにおける新たな安全性の懸念は認められない。

本試験の結果は、本年12月にスイス・ジュネーブで開催される欧州臨床腫瘍学会 腫瘍免疫学シンポジウム(ESMO Immuno Oncology)にて発表される予定とのことである。

現在、非小細胞肺がんに対する初回治療について、PD-L1高発現(50%以上)にてキイトルーダ単剤療法を使用することができる。その他、免疫チェックポイント阻害薬の組み合わせについては様々な臨床試験が実施中である。

第三の免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ(テセントリク)

テセントリクは、PD-1抗体ニボルマブ(商品名オプジーボ)やペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)と同じ免疫チェックポイント阻害薬となるが、PD-L1抗体となりターゲットが異なる。

アメリカ食品医薬品局FDA)は、2016年10月19日に「プラチナ製剤を含む化学療法に対して病態進行した転移性非小細胞肺がん(EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子変異対象外)」の適応として承認しており、日本では今月6日に厚生労働省 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会にて了承されたため、間もなく承認されるであろう薬剤となる。

IMpower150試験は、化学療法未施行のステージIV非扁平上皮NSCLC患者さんを対象に、テセントリクの化学療法との併用レジメンにおける有効性と安全性を化学療法併用レジメンと比較検討した、オープンラベルランダム化多施設共同第III相臨床試験である。

本試験の試験デザイン1,202名の患者さんを以下のA~C群に1:1:1の割合でランダム化し、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。

A群:テセントリク(1,200mg静注)+カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)
B群:テセントリク(1,200mg静注)+カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)+ベバシズマブ(15mg/kg静注)
C群:カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2静注)+ベバシズマブ(15mg/kg静注)
※患者が臨床的ベネフィットを享受していると治験担当医師が評価している限り、または許容不能な有害事象が認められるまで継続

主要評価項目は、ALK又はEGFRの遺伝子変異患者を除くITT(Intent to treat)解析集団ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団における無増悪生存期間(PFS)およびITT解析集団の全生存期間(OS)となり、今回の解析結果はB群対C群でのみ統計学的な比較を行っている。

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン