2017年11月7日、BRAFV600遺伝子変異を有するエルドハイム・チェスター病(Erdheim-Chester disease)に対するベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ;以下ゼルボラフ)単剤療法が米国食品医薬品局(FDA)より承認を受けたことをエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が自社のプレスリリースで公表した。

今回の承認の根拠は、BRAFV600遺伝子変異を有するエルドハイム・チェスター病を含む固形がん、多発性骨髄腫などの患者に対してゼルボラフ単剤療法を投与し、主要評価項目として8週時点における腫瘍縮小効果、副次評価項目としてRECIST1.1に基づく客観的奏効率(ORR)、有害事象発症率を検証したオープンラベルの第II相のVE-BASKET試験(NCT01524978)である。

なお、バスケット試験とは、疾患またはその部位でなく疾患の原因となる遺伝子変異のある患者を対象に、エルドハイム・チェスター病のようなアンメットメディカルニーズの高い疾患の治療薬の開発を加速化するために実施される試験である。

VE-BASKET試験では、BRAFV600遺伝子変異を有するエルドハイム・チェスター病患者(N=22人)に対してゼルボラフ960mgを1日2回経口投与し、RECIST1.1に基づく客観的奏効率(ORR)は54.5%であった。

一方の安全性は、グレード3の有害事象(10%以上)として新規発症の皮膚がん、高血圧、発疹、そして関節痛が確認された。また、最も一般的な有害事象(50%以上)として関節痛、発疹、脱毛、疲労、不整脈、そして軟性繊維腫が確認された。

今回の承認を受けて、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・チーフメディカルオフィサー(CMO)・Sandra Horning氏は以下のように述べている。”ゼルボラフはエルドハイム・チェスター病の治療薬としては初めて米国食品医薬品局(FDA)より承認された治療選択肢です。我々はエルドハイム・チェスター病のようなアンメットメディカルニーズの高い疾患の患者さんへ医薬品を届けることに今後も貢献していきます。そして、バスケット試験のような革新的な臨床試験を通じてゼルボラフを希少疾患の治療薬として提供できることを嬉しく思います。”

エルドハイム・チェスター病(Erdheim-Chester disease)とは

エルドハイム・チェスター病は世界でも推定600〜700人しか患者のいない、骨髄由来の増殖が遅い血液がんである。白血球の一種である組織球細胞が異常増殖をきたし、過剰に増殖した組織球細胞が心臓、肺、脳およびその他多くの臓器および組織に浸潤し、腫瘍をもたらす。原因は不明であるが、近年遺伝子変異が原因で発症する腫瘍性疾患であると考えられており、エルドハイム・チェスター病患者の約54%がBRAFV600変異を有することが判っている。


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