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前治療歴のあるHRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に対してファルネシルトランスフェラーゼ (FT) 阻害薬Tipifarnibが奏効を示す

[公開日] 2017.11.07[最終更新日] 2017.11.07

2017年10月26日より30日までアメリカ・フィラデルフィアで開催されている米国癌研究治療学会AACR-NCI-EORTIC2017にて、HRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するファルネシルトランスフェラーゼ (FT) 阻害薬Tipifarnib単剤療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02383927)の結果がメモリアル・ スローン・ケタリング癌センターのAlan L.Ho氏より発表された。 本試験は、HRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対してTipifarnib単剤療法を投与し、主要評価項目であるRECIST基準による客観的奏効率(ORR)を検証したオープンラベルの第II相試験である。なお、本発表では本試験に登録されたHRAS陽性頭頸部がん(HNSCC)患者 6人の内、部分奏効(PR)が確認された4人の患者を対象としている。 2017年10月4日時点、部分奏効(PR)が確認された4人の患者は21、7、5、そして3サイクル目の治療サイクル数である。21、7、5サイクル目の全ての患者が部分奏効(PR)を達成しているが、3サイクル目の患者は2サイクル時点の効果判定時で安定(SD)であったにも関わらず部分奏効(PR)を達成していた。21サイクル目の患者は20サイクル時点まででは部分奏効(PR)が確認されたが、その後病勢進行が確認されたため投与中止になった。7サイクル目の患者は最良奏効を達成し、8サイクル目で投与中止となった。 本試験の結果より、Tipifarnib単剤療法は化学療法単独、またはセツキシマブ(商品名アービタックス;以下アービタックス)など併用療法の治療歴のあるHRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対して有用性があることが証明された。 一方の安全性としては、低度から中等度治療関連有害事象は悪心・嘔吐、疲労、骨髄抑制など従来より報告されているTipifarnibの安全性プロファイルと一貫していた。 以上の第II相試験の有効性、安全性の結果を受けて、Alan L.Ho氏は以下のように述べている。"本試験の奏効率、持続奏効率、安全性より、TipifarnibはHRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者さんにとって重要な治療選択肢であることが明らかになりました。現在進行中のHRAS変異患者を対象としたTipifarnibの第Ⅱ試験を引き続き追跡し、研究できることに対して我々は嬉しく思います" また、Kura Oncology社・チーフメディカルオフィサー(CMO)のAntonio Gualberto氏は以下のように述べている。"HRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するTipifarnibの臨床的意義の高さは我々を勇気づけます。本試験の前向きな結果に基いて、Tipifarnibの他の疾患領域への応用を探求し、規制当局より情報提供の指令を受けることに努めてまいります。また、2018年、HRAS陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の適応で承認取得できるような臨床試験の計画を進めてまいります。" HRAS変異をはじめRAS遺伝子変異のある患者ではRASの恒常的活性化が認められる。そのため、RASを標的とした治療薬の開発が期待されているが、低分子結合タンパクの一種であるRASは不活化状態ではGDPと結合するためファルネシルトランスフェラーゼ (FT) によりファルネシル化し、活性化する。 以上の機序からファルネシルトランスフェラーゼ (FT) 阻害薬がRASの働きを抑制すると考えられ医薬品の開発が進められていた。本試験でTipifarnibの有効性が証明されたことで、HRAS変異をはじめRAS遺伝子変異のある患者に対してファルネシルトランスフェラーゼ (FT) を阻害する意義が証明された。
ニュース 頭頸部がん ティピファルニブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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