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日本人EGFR陽性肺がん初回治療における新規EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ダコミチニブの実力
[公開日] 2017.11.07[最終更新日] 2017.11.07
EGFR変異陽性進行非小細胞肺がんの一次治療としては、ゲフィチニブ(商品名イレッサ)、エルロチニブ(商品名タルセバ)およびアファチニブ(商品名ジオトリフ)と3剤が承認されているが、これらの比較検討した臨床試験は多くなく、非劣性は立証しているものの優越性を立証している臨床試験はない。
そんな中、今年はダコミチニブとオシメルチニブ(商品名タグリッソ)という2つの薬剤の第3相試験の優越性を示すデータが発表された。
1つは、未治療EGFR遺伝子変異肺がん患者の556名が参加したタグリッソとイレッサの比較第3相試験(FLAURA、NCT02296125)の結果。今年9月に開催された欧州臨床腫瘍学会ESMO2017にて発表され、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は、タグリッソ18.9ヶ月、イレッサ10.2ヶ月とが有意に延長し、56%(HR:0.46)の病態進行リスクが低下した。
タグリッソは第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬である。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)を使用した後にEGFR T790M遺伝子変異という二次変異をきたし、薬剤耐性を獲得した場合に奏効するように設計されたタグリッソは、T790M遺伝子変異が認められる非小細胞肺がんに対して効果を発揮し、2016年3月28日に「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のT790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」に対して適応承認された。
もう1つは、未治療EGFR遺伝子変異肺がん患者の452名が参加したダコミチニブとイレッサの比較第3相試験(ARCHER 1050、NCT01774721)。今年6月に開催された米国臨床腫瘍学会ASCO2017にて発表され、主要評価項目の無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ14.7ヶ月、イレッサ9.2ヶ月とダコミチニブが有意に延長し、41%(HR:0.59)の病態進行リスクが低下した。
※ただし、FLAURA試験では中枢神経系転移(脳転移等)の方も参加できた一方、ARCHER1050試験では中枢神経系転移の方は参加できなかった違いがある。
ダコミチニブは、第二世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬である。第二世代EGFRとしては、他剤よりもパフォーマンスがいいといわれ、ARCHER1050試験における投与開始から24ヶ月時点(2年)の病勢制御率は、ダコミチニブ30.6%、イレッサ9.6%であり、(一概に比較できないが)この数字はジオトリフのLUX Lung7試験の18%よりも高く、タグリッソのFLAURA試験の35.8%に迫る。
当時の発表ではアジア人にて良好のデータも示されたが、2017年10月15日から18日まで横浜で開催されていた国際肺癌学会(IASLC)第18回世界肺癌学会議(WCLC)にて、日本人に限定したデータが、近畿大学 中川 和彦氏によって発表された。
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