2017年10月1日、医学誌『Clinical Cancer Research』にて免役チェックポイン阻害薬の応答性と血中循環腫瘍DNActDNA)の変異の相関性についての研究報告が公表された。

従来、腫瘍の遺伝子変異総量(TMB)は組織生検を用いた次世代シーケンサー(NGS)により測定され、免役チェックポイン阻害薬による有効性との相関性が検証されていた。

しかし、生検を用いての測定は高額であり、かつ患者への負担が大きい。そこで、本研究では低コストであり低侵襲性のリキッドバイオプシー(液体生検)により血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異と免疫チェックポイント阻害薬の応答性の相関性を検証している。

本研究の対象患者(N=69人)は、2012年12月より2016年12月の間に免疫チェックポイント阻害薬ベースの治療を受けた悪性黒色腫(メラノーマ)、肺がん、頭頸部がんなどに罹患する固形がん患者である。なお、免疫チェックポイント阻害薬としては主に抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬による治療が施されていた。

上記患者に対してリキッドバイオプシーGuardant360を用いて、特定の遺伝子変異であるが現時点でその遺伝変異の意義が不明である変異(VUS)の個数を特定した。

そして、意義不明の遺伝子変異(VUS)が3つより多い群(High)、3つ以下である群(Low)に分けて、それぞれの奏効率の割合(6ヶ月以上の安定(SD)、完全奏効(CR)、部分奏効(PR))、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した。

その結果、無増悪生存期間(PFS)はLow群に比べてHigh群で統計学的有意に改善することが証明された。また、奏効率の割合はLow群15%であるのに対して、High群45%と統計学的有意に奏効を示すことが証明された(p=0.014)。なお、意義不明の遺伝子変異(VUS)の個数6未満、6以上の個数においても同様の結果が確認された。

無増悪生存期間(PFS)、奏効率の割合と同様の結果が、全生存期間(OS)においても確認されている。さらに、2ヶ月ランドマーク解析における意義不明の遺伝子変異(VUS)を3つより多く有する患者で応答性別の無増悪生存期間(PFS)は、免疫チェックポイント阻害薬に対して反応を示した群23ヶ月に対して、反応を示さなかった群2.3ヶ月(P=0.0004)であった。

以上の研究結果より、リキッドバイオプシーを用いた意義不明の変異(VUS)の個数の違いによる免疫チェックポイント阻害薬の応答性が予測できる可能性が示唆された。

以上の研究結果を受けてアメリカ合衆国・カルフォルニア州・Moores Cancer CenterのRazelle Kurzrock氏は下記のようなコメントを出している。”遺伝子変異は異常たんぱく質を産出する。そして、癌細胞が生み出す遺伝子変異と異常たんぱく質が増えれば増えるほど、免疫システムがその遺伝子変異、異常たんぱく質の増殖を検知し易くなる。我々の研究により、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異が免役チェックポイン阻害薬の効果を予測する因子となり得ることが証明された。”

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