あなたは医師ですか。
現役 治験責任医師が考える、オンコロジーCRAに求められるもの
[公開日] 2017.10.18[最終更新日] 2017.10.18
2017年10月12日、株式会社インテリム・オンコロ共催の臨床開発職(CRA)向けのセミナーを開催しました。CRAの専門性向上という観点から、瀬戸貴司先生(九州がんセンター呼吸器腫瘍内科)を講師に迎え、“最新の肺がん治療”及び“治験担当医師としてCRAに求めるもの”についてお話を伺う機会を得ました。本セミナーには、製薬会社やCROの治験担当者約60人が出席しました。
【10月12日開催】 CRAの専門性向上イベント 肺がん薬物治療最前線
瀬戸先生は、肺癌診療ガイドラインの2005年アップデートから委員として携わっておられ、呼吸器外科及び内科だけでなく、専門医以外も肺がんの薬物治療に携わる日本において、患者さんを前にした先生が、患者さんの状態に合わせ、樹形図に沿って標準的な治療(推奨グレード及び推奨根拠を付記)に辿り着けるようなガイドライン作成に取り組んでおられます。今では最新情報をタイムリーに盛り込むことができるWeb版を中心に、年1回更新されています(冊子版は2年に1回改訂)。
肺癌診療ガイドライン:https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3
最新の肺がん治療については、論文や学会発表された臨床試験の結果に基づき、次のような話を分かりやすくご説明いただきました。
殺細胞性抗がん剤しかなかった時代から、分子標的治療薬(がん細胞の増殖や腫瘍血管の新生などに重要な役割を担っている様々な分子を標的とする薬剤:EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、ALK融合タンパク阻害薬)、免疫チェックポイント阻害薬(がん細胞が免疫細胞の働きにブレーキをかけているのを外す働きをする薬剤:PD-1阻害薬、PD-L1阻害薬)などを使用できる(治験段階の薬剤も含め)ようになり、従来の治療に比べ、QOLを良好に保ちつつ生存期間を延長する(単純な生存率の向上ではない健やかな長生き)ことができるようになったこと、加えて、これら新しい治療法である分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬についても様々な比較試験が世界中で実施され、その結果、より効果が高い治療法が明らかになってきていること、また、色々な遺伝子変異がその治療効果に影響を与えることついて話を伺いました。
現在では、腫瘍側の因子(組織型、遺伝子異常の有無)と患者側の因子(PS、年齢など)の組み合わせにより、より良い治療効果を目指して治療法が選択されているとのことです。
最近話題のプレシジョン・メディシンについては、色々な遺伝子変異が生じる確率は1~数%と低いものの、その変異の有無によって治療薬を選択することで、より良い治療効果が期待できるが、そのためには、遺伝子解析の環境整備や希少な遺伝子変異をターゲットとした新薬開発といった両面からの取り組みが重要であることについてもお話を伺うことができました。
余談ですが、時折はさみこまれる小ネタ(ご紹介できないのが残念!)や後藤功一先生(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)との若き日のエピソードを散りばめた瀬戸先生の講演は、最新情報に溢れた話に参加者を上手に招き入れ、楽しく聞き入るうちに濃い内容がスルスル頭に入ってくるというもので、総説や成書を読むよりもはるかに記憶に残るものとなりました。
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