進行期ホジキンリンパ腫の一次治療薬としてのアドセトリス、米国FDAよりブレークスルー・セラピーの指定を受ける


  • [公開日]2017.10.10
  • [最終更新日]2017.10.10

2017年10月2日、ブレンツキシマブベドチン(商品名アドセトリス;以下アドセトリス)が進行期ホジキンリンパ腫一次治療として米国食品医薬品局 (FDA)よりブレークスルー・セラピー(画期的新薬)指定を受けたとシアトル ジェネテク社のプレスリリースで公表された。

アドセトリスがブレークスルー・セラピー指定を受けた根拠は、未治療の進行期ホジキンリンパ腫患者(N=1334人)に対してアドセトリス+AVD(アドリアマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法を投与する群、またはABVD (アドリアマイシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法を投与する群に無作為に分け、主要評価項目である独立評価機関による修正無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第III相のECHELON-1(NCT01712490)試験の結果に基づくものである。

本試験の結果、ABVD療法群に比較してアドセトリス+AVD療法群は修正した病勢進行または死亡のリスク(無増悪生存期間:PFS)が23%(ハザード比0.77、p=0.035)統計学的有意に減少することが明らかになった。

また、修正2年無増悪生存率(PFS)はABVD療法群77.2%に対してアドセトリス+AVD療法群82.1%であった。副次評価項目としては全生存期間(OS)が設定されており、無増悪生存期間(PFS)と同様にアドセトリス+AVD療法群が良好な傾向を示していた。

安全性としては、アドセトリス+AVD療法またはABVD療法を構成するそれぞれの薬剤で知られている副作用プロファイルと一貫していた。例えば、アドセトリス+AVD療法群では発熱性好中球減少症、末梢性ニューロパチーの発現率が上昇し、ABVD療法群では肺毒性の発現率が上昇していた。

以上のブレイクスルー・セラピーの承認に対して、シアトルジェネンテック社の社長兼CEOであるClay Siegall氏はこのような見解を出している。”未治療進行期ホジキンリンパ腫の標準治療であるABVD療法に対してアドセトリス+AVD療法は優れる結果を証明した。この結果は新規に進行期ホジキンリンパ腫と診断される患者さんに対して新しい治療選択肢を提示することになるだろう。2017年末、適応拡大のための生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を米国食品医薬品局 (FDA)へ提出することを楽しみにしている”

1992年に一流医学誌『The New England Journal of Medicine』でその有用性が報告されてから20年間、ABVD療法は古典的ホジキンリンパ腫の標準治療薬として位置づけられている。Stanford V療法、BEACOPP療法をはじめ、いくつもの化学療法がABVD療法を上回る治療成績を残そうと挑んだ、ABVD療法のその座を奪えなかった。

この背景を考慮すると、アドセトリスが進行期ホジキンリンパ腫の一次治療として米国食品医薬品局よりブレークスルー・セラピーとしての指定を受けたことはホジキンリンパ腫の治療成績をさらに向上させることになるだろうと筆者は考える。

Seattle Genetics Receives FDA Breakthrough Therapy Designation for ADCETRIS® (Brentuximab Vedotin) in Frontline Advanced Hodgkin Lymphoma( Seattle Genetics, Inc. Press Release)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン