2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、閉経後女性におけるがん発症リスクは、体重や体格指数(BMI)の数値よりも腹部の内臓脂肪の割合が有意な決定因子であることが発表された(Abstract1408P_PR)。

12年間にわたるデンマークの閉経後女性対象の疫学的試験

1999年から2001年、デンマークで行われた疫学的リスク因子の前向き調査分析「Prospective Epidemiologic Risk Factor study」に登録された閉経後女性(平均年齢71歳)5855例の脂肪量、脂肪分布を二重エネルギーX線吸収法(DXAスキャン)で測定し、12年間にわたる追跡でがん診断情報と死亡原因を収集した。

その結果、12年間で811例が固形がんと診断されていた。そして、皮下脂肪に対する内臓脂肪の割合が高いとがんリスクが1.30倍に有意に上昇することが示された(ハザード比[HR]=1.30)。BMIや体脂肪率は、がんの独立したリスク因子としての統計学的有意性を示さなかった。

811例のがん種別内訳は、乳がんと卵巣癌を合わせて293例、肺がんと消化器がんを合わせて345例、その他の固形がんが173例であった。特に、内臓脂肪割合の高さとリスクとの関連が高かったのが肺がん、消化器がんで、リスクはそれぞれ1.68倍、1.34倍に上昇することが判明した。

また今回の分析調査では、加齢やホルモン補充療法、喫煙といった肥満以外のがんリスク因子をコントロールしても、内臓脂肪の割合が独立したリスク因子であり続けることもわかった。

従来から肥満ががんのリスク因子であることは知られているが、疫学的試験でも体重やBMI、腰周径などを肥満の指標として評価しているものがほとんどであった。今回の分析調査により、閉経後のがんリスク管理の優先順位が変わった。閉経後の女性は、ホルモン状態の変化により体脂肪が腹部・体幹に移動する傾向があり、皮下脂肪に対する内臓脂肪の割合を把握しつつ生活習慣を意識することが重要である。

Abdominal Fat a Key Cancer Driver for Postmenopausal Women(ESMO 2017 Press Release)


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