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日本肺癌学会が新規免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブについて早期承認要望書を厚生労働大臣へ提出
[公開日] 2017.09.27[最終更新日] 2017.09.27
9月25日、特定非営利活動法人日本肺癌学会(光冨 徹哉 理事長)は、厚生労働大臣に新規免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブ(海外商品名Imfinzi)について、「切除不能な局所進行性(ステージ3)非小細胞肺がん患者を対象とした同時併用化学放射線療法後の維持療法」の早期承認要望書を提出した。
近年、EGFR、ALK、ROS1を標的とした分子標的薬の登場、免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、ステージ4非小細胞肺がんの治療は飛躍的に向上した。例えば、1~5種類の全身療法による治療歴を有する進行期非小細胞肺がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)を使用した第1相試験(CA209-003試験、NCT00730639)の5年生存率は16%となっている。
非小細胞肺がん 米国がん学会にてオプジーボの5年生存率が16%と発表 ~化学療法の約4倍~(オンコロニュース2017.04.06)
しかしながら、非小細胞肺がんの27%を占めるといわれる「切除不能な局所進行(ステージ3)」の標準療法は化学療法と放射線療法の同時併用となり、5年生存率は約15%と決して満足できる有効性が少なくとも10年間は示されていない。
その中、2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、ステージ3非小細胞肺がん患者に対する同時併用化学放射線療法後の維持療法としてのデュルバルマブを使用する第3相無作為化二重盲検試験(PACIFIC、NCT02125461)試験の結果が、スペイン・マドリードのHosipital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により発表されるとともに、9月8日のNew England Journal of Medicineに掲載された。本試験は日本も参加した国際共同試験である。
PACIFIC試験の結果、本試験の主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間中央値において、プラセボ5.6カ月と比べデュルバルマブ16.8カ月と11.2か月延長し、増悪・死亡リスクは48%低下、統計学的にも証明された(ハザード比(HR)=0.52、p<0.001))。
*アストラゼネカ社プレスリリースより転載
局所進行ステージ3の非小細胞肺がん 一次療法の効果を強化するデュルバルマブの地固め療法で増悪リスク48%減(オンコロニュース2017.09.12)
なお、デュルバルマブは、腫瘍細胞および抗原提示細胞上に発現するPD-L1タンパクを標的とするPD-L1抗体であり、免疫チェックポイント阻害薬であるもののPD-1抗体であるニボルマブ(商品名オプジーボ)やペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)とは少し異なる作用機序となる。
以上より、日本肺癌学会は、早期承認要望書には以下のように記載している。
「切除不能局所進行性肺癌(III期)の多くが後に局所再発あるいは遠隔転移を起こし、予後が不要であること、過去約20年間ほとんど治療の進歩がみられず、新しい治療の開発が求められていること、デュルバルマブによる化学放射線療法後の維持療法が切除不能局所進行性肺癌の予後を大きく改善することが強く示唆されていることから、学術的見地並びに人道的見地よりデュルバルマブの早期承認を要望します。」
デュルバルマブは、2017年7月に米国食品医薬品局(FDA)によりステージ3非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に画期的治療薬に指定されているが、現時点では日本・海外含め承認申請はなされておらず、早期申請・早期承認が期待される。
切除不能な局所進行性の非小細胞肺癌患者を対象とした同時併用化学放射線療法後のデュルバルマブ維持療法の早期承認の要望(日本肺癌学会ホームページ)
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