米国や欧州でBRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がん治療薬として用いられているポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬オラパリブ(リンパルザ)(海外商品名LynParza;リンパルザ)は、新剤形として錠剤が新たに登場し、第3相試験で従来のカプセルと同様の有効性と安全性が確認された。オラパリブ(リンパルザ)錠剤の1日2回経口投与で、病勢進行、または死亡のリスクがプラセボ群と比べ70%低下した。

2017年8月17日、米国食品医薬品局(FDA)は同錠剤を承認した。適応症は、プラチナ製剤の化学療法で完全奏効(CR)、または部分奏効(PR)が得られたBRCA1/2遺伝子変異陽性の上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんの維持療法である。この承認の根拠となった第3相試験(SOLO-2/ENGOT-Ov21、NCT01874353)の中間解析結果が、2017年7月25日のLancet Oncolオンライン版に掲載された。

オラパリブ(リンパルザ)のSOLO2:計295例の中間解析で主要・副次評価項目達成

SOLO-2は日本を含む16カ国、123施設で行われている国際共同無作為化二重盲検試験で、2013年9月3日から2014年11月21日までに、過去に受けた2種以上のプラチナ製剤の化学療法で完全奏効(CR)、または部分奏効(PR)が得られ、プラチナ製剤の最終投与後少なくとも6カ月以上経過して再発したBRCA1/2遺伝子変異陽性の高悪性度上皮性卵巣がん、もしくは高悪性度原発性腹膜がん、または卵管がん患者295例がオラパリブ(リンパルザ)錠群(196例)、またはプラセボ錠群(99例)に無作為に割り付けられた。オラパリブ(リンパルザ)は300mg(150mg錠×2)を1日2回(1日合計600mg=150mg錠×4)連日経口投与した。

その結果、主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存(PFS)期間中央値は、オラパリブ(リンパルザ)錠群(19.1カ月)がプラセボ錠群(5.5カ月)と比べ有意に延長し(p<0.0001)、オラパリブ(リンパルザ)錠群の増悪または死亡のリスクはプラセボ錠群より70%低下した(ハザード比(HR)=0.30)。 無増悪生存(PFS)期間中央値は、独立中央判定でも同様で、オラパリブ(リンパルザ)錠群(30.2カ月)がプラセボ錠群(5.5カ月)と比べ有意に延長し(p<0.0001)、増悪または死亡のリスクはオラパリブ(リンパルザ)錠群の方が75%低下した(HR=0.25)。 また、オラパリブ(リンパルザ)錠群はプラセボ錠群と比べ次の3つの副次評価項目も有意に改善した。 (1)最初の後続治療を開始するまで、または死亡までの時間が有意延長(p<0.0001)、そのリスクは72%低下(HR=0.28) (2)二次進行、または死亡までの時間が有意延長(p<0.0002)、そのリスクは50%低下(HR=0.50)。 (3)2回目の後続治療を開始するまで、または死亡までの時間が有意延長(p<0.0001)、そのリスクは63%低下(HR=0.37)

病勢を進行させないオラパリブ(リンパルザ)の効果は日常生活の本質に反映する

最初の後続治療を開始するまでの時間は、典型的には、オラパリブ(リンパルザ)内服治療から静注用の化学療法に移行するまでの時間のことで、2回目の後続治療を開始するまでの時間は、オラパリブ(リンパルザ)の維持療法の有益性を損なうような化学療法抵抗性がない状態で移行していることから、オラパリブ(リンパルザ)錠剤に引き続く1回目、および2回目の別の治療までの時間が遅延したという事実は、生活の質(QOL)の悪化を招かないという意味で臨床的意義が高い。

実際、患者が自己評価したQOL調査(TOI、FACT-O)にも現れており、オラパリブ(リンパルザ)錠剤の内服を続けることで病勢の進行を遅らせ、すなわち次の化学療法が必要となるような症状の発症が遅延したことによる好影響と捉えることができた。

計画用量の98%超の投与を実現する安全性の管理も可能

オラパリブ(リンパルザ)錠の安全性は、従来のカプセルを用いた試験結果と同様で、貧血を除く毒性はほとんどが低グレードであり、管理可能であった。グレード3以上の有害事象は、オラパリブ(リンパルザ)錠群の19%(38/195例)に認められ、プラセボ錠群は2%(2/99例)であった。その他のグレード3以上の有害事象に群間差はなく、疲労感/無力症(各4%、2%)、および好中球減少症(各5%、4%)であった。

重篤な有害事象は、オラパリブ(リンパルザ)錠群18%、プラセボ錠群8%で、オラパリブ(リンパルザ)錠群では主に貧血(4%)、腹痛(2%)、腸閉塞(2%)、プラセボ錠群では主に便秘(2%)、腸閉塞(2%)であった。オラパリブ(リンパルザ)錠群の1例は、治療関連の有害事象と判定された急性骨髄性白血病により死亡した。

有害事象を理由とする投与中断(オラパリブ(リンパルザ)錠群45%、プラセボ錠群18%)、用量減量(各25%、3%)、および投与中止(各11%、2%)はいずれもオラパリブ(リンパルザ)錠群の方が多かったが、相対的用量強度は群間に大差はなかった。相対的用量強度は、計画された用量に対する実際の服用量の割合で、オラパリブ(リンパルザ)錠群98.4%、プラセボ錠群99.4%、投与量の中央値はそれぞれ597.6mg、598.4mgであった。

内服の利便性に加え、1回2錠の服薬個数もQOL安定に寄与

オラパリブ(リンパルザ)錠の推奨用量は300mg(150mg×2錠)を1日2回で、1日合計600mg(150mg×4錠)である。カプセルの400mg(50mg×8カプセル)を1日2回、1日合計800mg(50mg×16カプセル)と比べると、錠剤の方が服薬負担は明らかに軽減される。当然、薬物動態、およびバイオアベイラビリティは検証済みで、第1相試験(NCT00777582)では、オラパリブ(リンパルザ)錠300mg1日2回服用後の曝露量は同カプセル400mg1日2回服用と同等か、またはそれ以上に達することが示されている。


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