2017年8月16日、Exelixis社は米国食品医薬品局(FDA)にカボザンチニブ(米国での商品名:CABOMETYX)の効能の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を提出したことを自社プレスリリースで公表した。

提出された医薬品承認事項変更申請(sNDA)の内容は、現在の効果効能”血管新生阻害薬による治療歴のある進行性腎細胞がん”を”未治療の進行性腎細胞がん”へと変更するものである。つまり、この医薬品承認事項変更申請が米国食品医薬品局に認められれば、カボザンチニブはファーストラインから使える進行性腎細胞がんの治療薬となる。

今回の医薬品承認事項変更申請の根拠は、中リスクまたは高リスクの未治療の進行性腎細胞癌患者157人をカボザンチニブ60mg/日単剤を投与する群、またはスニチニブ(商品名:スーテント)50mg/日単剤を投与する群に割り付け、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第II相試験(CABOSUN試験)の結果である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、スニチニブ投与群は5.6ヶ月に対して、カボザンチニブ投与群は8.2ヶ月(ハザード比0.66、95%信頼区間:0.46-0.95、p=.012)と2.6ヶ月間の延長を示した。

なお、無増悪生存期間(PFS)以外にも副次評価項目である全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)の各々の結果は下記の通りである。

CABOSUN試験の結果

副次評価項目である全生存期間(OS)は、スニチニブ投与群よりもカボザンチニブ投与群の方が20%減少する(補正HR, 0.80; 95% CI, 0.50-1.26)ことが示された。
また、全奏効率(ORR)もスニチニブ投与群が18%に対して、カボザンチニブ投与群が46%と良好な結果を示した。有効性以外にも、各々の薬剤で発症した主な有害事象は下記の通りである。

主な有害事象(全グレード)

両群ともに有害事象の発症は必発であり、カボザンチニブ投与群ならびにスニチニブ投与群どちらも約99%の有害事象が確認された。
主な有害事象としては疲労、高血圧、下痢、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値の増加、血小板減少症などが両群ともに確認された。

主な有害事象(グレード3以上)

また、グレード3以上の有害事象としては疲労、高血圧、下痢、手掌足底感覚異常症などが確認された。両群とも有害事象により治療の継続が困難になった患者も存在し、減量が必要な患者はカボザンチニブ投与群で58%、スニチニブ投与群で49%確認された。

腎細胞がん治療への新たな選択肢の希望

以上のように、有害事象はカボザンチニブ投与群が若干多いが、進行性腎細胞がんの現在のキードラッグであるスニチニブ投与群に対して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)において臨床的意義ある結果を示したことは、今後の進行性腎細胞がんの治療、特に未治療の進行性腎細胞がん治療の選択に大きく影響を与えることになるであろうと筆者は考える。

なぜなら、近年複数の分子標的治療薬が進行性腎細胞がんに対して有効性を示し、腎細胞がんの治療選択肢は劇的に増加しているが、いずれの組織型、リスク分類においても一次治療の標準治療薬としてはスニチニブが腎細胞がん診療ガイドライン(ESMO2012)で推奨されているからである。

このスニチニブに対して引けを取らない臨床結果を示したからこそ、カボザンチニブの医薬品承認事項変更申請を米国食品医薬品局(FDA)が承認することを筆者は期待している。併せて、日本における独占的開発・販売権契約を締結した武田薬品工業株式会社がカボザンチニブをいち早く日本で上市することを願う。

Cabozantinib Versus Sunitinib As Initial Targeted Therapy for Patients With Metastatic Renal Cell Carcinoma of Poor or Intermediate Risk: The Alliance A031203 CABOSUN Trial

Exelixis Submits U.S. Supplemental New Drug Application for CABOMETYX® (cabozantinib) for the Treatment of Previously Untreated Advanced Kidney Cancer(Exelixis, Inc. New Release, Aug16,2017)

記事:山田 創
編集:下川床 和真


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