2017年7月27日、アストラゼネカ株式会社より5番目の免疫チェックポイント阻害剤として期待されていたデュルバルマブ(商品名Imfinzi)の第Ⅲ相試験であるMYSTIC試験(NCT02453282)の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の結果が公表されたが、その結果はステージⅣ非小細胞肺がん患者をはじめとした関係者の期待に反するものであった。

MYSTIC試験(NCT02453282)とは、ステージⅣ非小細胞肺がん患者の一次治療としてデュルバルマブ(商品名Imfinzi)単剤療法、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)と別の作用機序であるがん免疫療法の抗CTLA-4モノクロナール抗体トレメリムマブとの併用療法、又はプラチナ製剤を用いた標準化学療法の3群に分け、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験は2015年より日本を含む17カ国167の医療機関で実施され、合計675例ものステージⅣ非小細胞肺がん患者を対象に一次治療でのデュルバルマブ(商品名Imfinzi)の有効性、さらにもう1種のがん免疫療法薬であるトレメリムマブとの併用療法の有効性を検証することを目的とした臨床試験であることから、その結果は注目されていた。

しかし、その結果は期待に反して主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はプラチナ製剤を用いた標準化学療法に対するデュルバルマブ(商品名Imfinzi)とトレメリムマブの併用療法の優越性を証明することができなかったのだ。

さらに、本試験の特徴的な患者背景としては、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)をはじめ免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できるがん細胞におけるPD-L1発現率25%以上の患者という条件が設定されていた。それだけに、この結果は非常に残念であると筆者は考える。

また併用療法と同様に、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)単剤療法でも無増悪生存期間(PFS)が標準化学療法に対して優越性を証明することはなかったのだ。参考までに、他の免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験の結果を挙げると、ニボルマブ(商品名オプジーボ)のCheckMate-026試験(NCT02041533)、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)のKEYNOTE-024試験(NCT02142738)がステージⅣ非小細胞肺がんの一次治療としての免疫チェックポイント阻害薬単剤療法の標準化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)の優越性を検証している。

その結果は、ニボルマブ(商品名オプジーボ)がデュルバルマブ(商品名Imfinzi)と同様であったのに対して、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)のみがステージⅣ非小細胞肺がんの一次治療として単剤療法で標準化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)の優越性を証明している。

もちろん、これら3つの臨床試験は患者背景をはじめとした条件が異なり、免疫チェックポイント阻害薬同士を直接比較した試験の結果ではないので断定はできないが、同じ免疫チェックポイント阻害薬であってもその有効性が異なる可能性はある。

2018年前半、アストラゼネカ株式会社はもう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)の結果を、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)とトレメリムマブ併用療法、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)単剤療法それぞれで公表すると発表している。

ステージⅣ非小細胞肺がんの一次治療としてのデュルバルマブ(商品名Imfinzi)の可否は全生存期間(OS)の結果を待って判断したいが、他の免疫チェックポイント阻害薬が証明した有効性を、デュルバルマブ(商品名Imfinzi)が証明できなかったという事実は、非小細胞肺がんの治療として免疫チェックポイント阻害薬を選択する時に重要になるであろう。

記事:山田 創


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