EGFR変異陽性進行非小細胞肺がんの一次治療としては、ゲフィチニブ(商品名イレッサ)、エルロチニブ(商品名タルセバ)およびアファチニブ(商品名ジオトリフ)と3剤が承認されているが、これらの比較検討した臨床試験は多くなく、非劣性は立証しているものの優越性を立証している臨床試験はない。

そんな中、ダコミチニブとイレッサの比較試験(ARCHER 1050、NCT01774721)が、ASCO 2017で香港Chinese University of Hong KongのTony Mok氏によって発表された。

ダコミチニブは、第二世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、特にEGFR(上皮成長細胞因子受容体)1, 2, 4を非可逆的に阻害治療薬である。EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者の一次治療薬 としてのダコミチニブによる第2相試験(NCT00818441)では奏効率75.6%、無増悪生存期間中央値18カ月であり有望な結果であった。(Jänne, Lancet Oncol 2014)

臨床試験で治療を受けた患者総数は452名、ダコミチニブ群に227名、イレッサ群に225名が割り付けられた。

主要評価項目の無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ14.7ヶ月、イレッサ9.2ヶ月とダコミチニブが有意に延長し、41%(HR:0.59)
ダコミチニブで病勢を制御するメリットが得られる結果であった。

投与開始から24ヶ月時点(2年)の病勢制御率は、ダコミチニブ30.6%、イレッサ9.6%であった。また、無増悪生存期間の解析では、アジア人346名、アジア人以外が106名だったが、ダコミチニブの有効性はアジア人で良好であった。

アジア人:49%病勢制御のメリット(HR:0.51)
アジア人以外:11%病勢制御のメリット(HR:0.89)

奏効率はダコミチニブ74.9%、イレッサ71.6%であり、奏効期間ではそれぞれ14.8ヶ月、8.3ヶ月であり、ダコミチニブで長かった。

有害事象は、ダコミチニブで下痢、爪囲炎、皮疹、胃炎の頻度が高く、イレッサでは肝機能異常の頻度が高かった。有害事象による減量はダコミチニブで66%、イレッサは8.0%であり、有意にダコミチニブが高かった。

本試験は,EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの初回治療として第一世代と第二世代EGFR阻害薬を直接比較した初の第III相試験であったといえる。ダコミチニブはイレッサと比較してPFSを有意に延長したが毒性はダコミチニブで多かった。Tony Mok氏は、ダコミチニブはEGFR遺伝子陽性非小細胞肺癌に対する初回治療における標準治療の1つとなりうると結論している。

しかしながら、現在、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名タグリッソ)の一次治療を対象とした第3相試験(FLAURA、NCT02296125)も実施中であり、その結果も待たれている。

Dacomitinib versus gefitinib for the first-line treatment of advanced EGFR mutation positive non-small cell lung cancer (ARCHER 1050): A randomized, open-label phase III trial.(Abstract No:LBA9007)

記事:前原 克章&可知 健太


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