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ステージ3大腸がん 治療後のライフスタイルで再発・死亡リスクに差異 ASCO2017

[公開日] 2017.06.26[最終更新日] 2017.06.26

目次

2017年6月2日から5日開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2017)で、ステージ3の大腸がんの術後の生活習慣に前向きな意識を持って実行している場合、そうでない場合と比べ死亡、あるいは再発リスクが42%低下すると報告された。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のErin Van Blarigan氏らが、米国で実施した第3相無作為化非盲検試験(NCT00003835)の前向き調査結果で、Late-Breaking-Abstract(LBA)枠で発表された。

米国がん協会(ACS)のガイドラインを活用したライフスタイルスコアで評価

1999年から2001年に上記第3相試験に登録され、術後化学療法を受けているステージ3の大腸がん患者992例を対象とし、治療中、および治療後の生活状況を2回調査した。生活状況を定量化するため、米国がん協会(ACS)の「がんサバイバーの栄養と身体活動についてのガイドライン(2012年)」に則した生活を実行しているかどうかを、0から6のライフスタイルスコアで判定した。 同ガイドラインでは、(1)適正体重の維持、(2)適度な運動の習慣、(3)全粒粉など非精製穀類や野菜、果物を十分に摂取しつつ、赤身肉や加工肉を控えることが推奨されている。本調査では、ACSのがん予防ガイドラインに記されているアルコール摂取についての調査も含める場合は、最大2ポイントを加点した。なお、ライフスタイルスコアが高いほど健康を心掛けた生活を送っていることを意味する。

体重・運動・食生活を含む総合的な生活習慣がリスクを決める

その結果、調査期間の中央値は7年間で、再発は335例、死亡は299例(うち再発なしでの死亡は43例)であった。ライフスタイルスコアが最も高い(スコア5からスコア6)患者集団(91例、9%)では、最も低い(スコア0からスコア1)患者集団(262例、26%)と比べ死亡リスク、および再発リスクが有意に42%低下し、(ハザード比[HR]=0.58、p=0.01)、無増悪生存期間(DFS)の延長傾向を示した(HR=0.31、p=0.03)。 アルコールスコアを含めた補正HRに基づく解析では、スコアが最も高い(スコア6からスコア8)患者集団(162例、16%)では、最も低い(スコア0からスコア2)患者集団(187例、91%)と比べ、死亡リスクが有意に51%低下し(HR=0.49、p=0.002)、再発リスクは36%低下した(HR=0.64、p=0.05)。 これらの結果は特定のライフスタイル因子により変化するものではなく、適正体重の維持、運動習慣、そして健康的な食習慣のすべてが重要であることを意味していた。

あくまでも生活習慣と術後薬物療法とは別と考える

大腸がん患者に限らず、多くのがんサバイバーは糖尿病、心疾患といった健康上の問題を抱えているのが現状で、ライフスタイルが健康状態全般に影響をおよぼす可能性は高い。米国では大腸がんサバイバーが130万人を超えており、研究者らは、今回の新しいデータはライフスタイルが大腸がんに特異的な治療成績をも左右し得るとしている。 「とはいっても」とBlarigan氏は下記のように強調している。 「ライフスタイルさえ意識して健全な生活を続けることが、大腸がんの標準的な化学療法や他の治療法の代わりになるという意味ではない。むしろ、ライフスタイルに神経質になることなく健康的な食事や適度の運動を続けるべきである。そして、その結果、良好な健康状態を維持するのみならず、活動性のがんの状態に戻る可能性が低くなるのである。」 Blarigan氏らの研究グループは現在、大腸がん患者を対象にデジタルデバイス「Fitbit」などを用いて、ライフスタイルに介入した、容認性並びに実現可能性を評価する臨床試験を行っている。 Healthy Lifestyle After Colon Cancer Diagnosis Helps Patients Live Longer(ASCO News release) American Cancer Society (ACS) Nutrition and Physical Activity Guidelines after colon cancer diagnosis and disease-free (DFS), recurrence-free (RFS), and overall survival (OS) in CALGB 89803 (Alliance).(ASCO2017 Abstract LBA10006) 記事:川又 総江 この記事に利益相反はありません。
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医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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