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胆道がん 術後補助化学療法としてカペシタビン(ゼローダ)を使用する有益性 ASCO2017 PRESSCAST

[公開日] 2017.06.02[最終更新日] 2017.06.02

目次

2017年6月2日から6日まで第53回米国臨床腫瘍学会(ASCO:アスコ)Annual Meeting(年次総会)が開催される。毎年、米国シカゴにて開催されるASCO年次総会は、毎回世界中から3万人以上のオンコロジストが集まる世界最大の「がんの学会」と言える。今年の年次総会のテーマは「Making a Difference in Cancer Care With You」となり、『ともにがんのケアを変革していく』という意である。 年次総会では2,150の演題が採択され、さらに2,890本以上の演題がオンライン発表として採択されており、多くは5月17日に公開された。更に、6つの重要な演題については、ASCOに先立ちプレスリリース公開されており、その1つとして「胆道がんの術後補助化学療法としてカペシタビン(商品名ゼローダ)と経過観察を比較したBILCAP試験の結果」が掲載された。

胆道がんの術後補助化学療法にゼローダを使用することで生存期間が約1年以上延長~第3相臨床試験結果~

胆道がんはいまだに予後不良でありのがん種である。胆道がんと診断された方のうち、約20%が外科的切除の適応であるものの、外科手術が成功したとしても5年後の生存率10%未満となっている。 そのような中、英国サザンプトン大学のJphn N. Primrose医師らの研究チームは、術後補助化学療法としてカペシタビン(商品名ゼローダ)または経過観察を比較する第3相臨床試験(BILCAP試験、NCT00363584)を実施。根治切除後にゼローダを使用した場合に、全生存期間(OS)を改善するかどうかを検証した。 対象は、ECOG PS2以下で十分な胆道ドレナージが行われ、進行中の感染症がなく、適切な腎臓・肝臓機能を有する、完全切除された胆管がんまたは胆嚢がん(適宜、肝臓および膵臓切除を含む)患者。ゼローダ群(1,250 mg / m2×1~14日、21日ごと8サイクル)と経過観察群で比較検討された。主要評価項目はITT解析による全生存期間(OS)で、一次解析は、24ヶ月以上の追跡期間で行われた。 2006~2014年に英国44施設から447人の参加者が登録され、ゼローダ群(n=223)と経過観察群(n=224)に無作為に1対1に割り付けられた。 患者の年齢中央値は63歳、ECOG PS0は201名(45%)、PS1は232名(52%)、PS2は14名(3%)であった。原発部位は肝内が84名(19%)、肺門が128名(28%)、肝外胆管が156名(35%)、筋浸潤性胆のうが79名(18%)であった。完全切除(R0)が279名(62%)、不完全切除(R1)が168名(38%)で、207名(46%)はリンパ節転移陰性であった。 臨床試験に参加された全患者群の解析(ITT解析;n = 447)による全生存期間中央値は、ゼローダ群は51ヶ月(95%CI 35~59)、経過観察群は36ヶ月(95%CI 30~45)とゼローダ群で良好であり、死亡リスクを20%低下させるものであったが、統計学的有意には至らなかった(HR 0.80、95%CI 0.63~1.04、p=0.097)。 しかしながら、試験実施計画書を遵守して治療された患者群(Per Protcol set(PPS); ゼローダn=210、経過観察群n=220)に限定して解析した場合、ゼローダ群のOS中央値は53ヶ月(95%CI 40、NR)、経過観察群では36ヶ月(95%CI 30,44)であり、ゼローダ群が死亡リスクを25%減少して統計学的有意に良好であった(HR 0.75、95%CI 0.58~0.97、p=0.028)。 一方、ITT解析による、リンパ節転移、疾病の程度および性別を調整した感受性分析では、ハザード比(HR)0.71(95%CI 0.55~0.92、p<0.01)と、ゼローダ群が死亡リスクを29%低下させて、統計学的有意に良好であった。また、ITT解析による無再発生存期間(RFS)中央値は、ゼローダでは25ヶ月(95%CI 19~37)、経過観察では18ヶ月(95%CI 13~28)であった。 安全性に関しては、グレード3~4の毒性は予想よりも低かった。 Primrose氏は「胆道がんは、最近まで治療に関する研究が少なかったため、アンメットメディカルニーズが高い領域である」、「我々の試験は、(この領域において)十分な患者を対象とした初の試験であり、術後補助化学療法が生存期間が有意に延長され、副作用もわずかであった」と説明した。 この結果は、米国臨床腫瘍学会学術集会(ASCO2017)で6月4日に発表される。   Adjuvant capecitabine for biliary tract cancer: The BILCAP randomized study.(Abstract 4006) Oral Chemotherapy Extends Survival by More Than a Year in Biliary Tract Cancer(ASCO News Releases) ASCO 2017: Adjuvant Capecitabine May Extend Survival in Biliary Tract Cancer(ASCOPOST) 記事:加藤 テイジ & 可知 健太
ニュース 胆道がん ゼローダ

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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