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非小細胞肺がん キイトルーダの長期生存率25%を弾き出す治癒モデル

[公開日] 2017.03.13[最終更新日] 2017.03.13

目次

非小細胞肺がん キイトルーダの長期生存率25%を弾き出す治癒モデル~がん免疫療法の登場で余命の捉え方に変化、長期的な臨床転帰を予測する独自モデルが必要~

プログラム細胞死受容体リガンド1(PD-L1)発現陽性で治療歴のある非小細胞肺がん(NSCLC)で、PD-1標的抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)で治療した患者集団の長期生存(LTS)率が、21%から25%に達する可能性がある。米国Memorial Sloan KetteringがんセンターのMatthew D. Hallmann氏らが実施した第1相試験(KEYNOTE-001、NCT01295827)、および第2/3相試験(KEYNOTE-010、NCT01905657)のデータをもとに算出した値で、ドセタキセル(商品名タキソテール)群の長期生存率は3%から4%と算出された。解析結果は2017年2月の米国臨床腫瘍学会免疫腫瘍シンポジウム(ASCO-SITC)で発表され、2月24日のOncLiveでも紹介された。 Pembrolizumab Long-Term Survival Rate Could Reach 25% in NSCLC(OncLive;Friday, Feb 24, 2017)

進行リスクが変化する治癒モデルで長期生存率を算出

Hallmann氏らは、20年以上にわたり使われてきた「Cure(治癒)」モデルとして知られる長期生存モデルを採用し、まずはKENOTE-001でキイトルーダ10mg/kgを2週ごと、または3週ごとに静注された患者306人を対象として長期生存率を算出した。その結果、追跡期間の中央値は21カ月、最長38.7カ月で、長期生存率は25.4%であった。 次に、KEYNOTE-010でキイトルーダ2mg/kg、または10mg/kgを3週ごとに静注された患者690人を検証対象として算出した結果、追跡期間の中央値は12カ月、最長23カ月で、長期生存率は25.3%であった。同試験の18カ月のデータを用いて補正した長期生存率は21.5%と検証された。 KEYNOTE-010でドセタキセル群に割り付けられた患者343人は、追跡期間中央値18カ月の時点で長期生存率は4.3%と算出され、この値は米国のSEER(Surveillance Epidemiology and End Results)データベースに基づく予測値と同等である。 なお、SEERデータベースは1973年から収集されたがんに関する統計データで、米国人口のおよそ26%をカバーしている。これによると、2006年から2012年における肺がん、または遠隔転移を有する気管支がんの5年生存率は4.3%とされている。

がん免疫療法の登場で生存追跡の概念が変化

本解析では、キイトルーダの治療が最長70カ月にわたりベネフィットをもたらす進行非小細胞肺がんの患者数が明らかになった。治療を開始してから従来通りの生活を送れる患者の数を示すもので、生存曲線上の患者数や図上の点を表すものではない。腫瘍免疫学領域の急速な進歩に伴い、PD-1阻害薬の持続的な効果を説明するには、従来の標準的な長期生存モデルが現実的ではないことがわかってきた。これまでは、転移がん患者集団のLTSの予測では、一定の十分な時間が経過するまでに生存患者数はゼロになると仮定している。しかし、免疫療法を受けた患者集団の場合は、生存曲線の尾部を継続的に追跡していくモデルが必要となる。新たな治癒モデルでは、がんの進行リスクは不変でなく変化するものであり、ある時点で停止することもあり得ると考え、「新しい長期生存モデルは、進行がん患者に治癒の概念を付与したアプローチ」とHallmann氏は語る。 とはいえ、PD-1阻害薬の長期データは、実際には数そのものがまだ少ない。2016年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告されたニボルマブ(商品名オプジーボ)の5年間の全生存率は、イピリムマブ(商品名ヤーボイ)の治療歴はないが複数の強い治療歴を有する転移性悪性黒色腫の患者集団で34%であった。この値は、SEERデータベースでの値(17.9%)のほぼ2倍に近い。Hallmann氏は、「これまで悪性黒色腫は経時的に進行していくのが特徴と考えられていたが、免疫療法が登場した現在、その常識は大きく変わった」とし、「ヤーボイの生存曲線は、約20%の生存率を示す線が平坦化し、生存期間が10年以上延長することを示す」と説明する。そしてHallmann氏は、「今回の解析で算出された、非小細胞肺がん患者のLTS率が約25%という値の信頼度を高めるためには、ベネフィットを得られる可能性の高い患者を特定する指標となるバイオマーカーを突き止める必要がある」と加えた。 Estimating long-term survival of PD-L1-expressing, previously treated, non-small cell lung cancer patients who received pembrolizumab in KEYNOTE-001 and -010.(ASCO-SITC2017,Abstract Number:77) 記事;川又 総江&可知 健太
ニュース 肺がん 免疫チェックポイント阻害薬

医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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