3月7日、メルクセローノ株式会社は、ファイザー株式会社と共同開発を行っている免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体「アベルマブ」について、「根治切除不能なメルケル細胞癌」の効能・効果で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。アベルマブはPD-1/PD-L1経路を阻害する免疫チェックポイント阻害薬としては、PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)およびPD-L1抗体アテゾリズマブ(テセントリク)に次ぐ4番手の承認申請となるが、メルケル細胞がん適応としては初となる。アベルマブは抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有すことも特徴である。

メルケル細胞がんは、治療選択肢が限られている悪性度の高い皮膚がんの一種で、日本における患者数は100人に満たないと推定される希少ながんとなり、アベルマブは2016年12月にメルケル細胞がんに対して希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を厚生労働省から受けていた。

今回の承認申請およびオーファン指定は、少なくとも1種類の化学療法を行った後に進行した転移性メルケル細胞がん患者さん88例を対象とした、単一群の多施設共同第Ⅱ相非盲検試験「JAVELIN Merkel 200」の結果に基づいているとのこと。本試験には日本も参加している。

事前に規定した一次解析により、アベルマブの投与を受けたメルケル細胞がん患者さんにおける奏効率は31.8%(88例中28例)であった。

安全性に関し、疲労や、注射に伴う反応を含む薬剤関連有害事象は、88例中62例(70%)で認められ、グレード3の有害事象は88例中4例で5件報告され、うち患者2名にリンパ球減少が、3名に単独の臨床所見異常(クレアチンホスホキナーゼの血中濃度上昇、血中コレステロール値上昇、肝臓のアミノ基転移酵素の検査値上昇)が認めらた。グレード4の薬剤関連有害事象または死亡例はなかった。

山﨑 直也医師(国立研究開発法人国立がん研究センター 皮膚腫瘍科長、JAVELIN Merkel 200試験の治験責任医師)は、「メルケル細胞がんは、非常に進行が早く予後が良くないがんでありながら、現在までに承認された治療薬がなく、有効な治療法が望まれていました。欧州、米国に続いて、アベルマブが日本で承認申請にいたったことは、メルケル細胞がんで苦しむ患者さんやご家族にとって大変大きな一歩となります。この薬剤が評価・承認され、近い将来、新たな治療選択肢が提供されることを期待します」と語っている。(プレスリリース抜粋)

メルケル細胞がん (MCC)について

メルケル細胞がんは、神経終末部近くの皮膚最表層にできるがん細胞に由来する、希少かつ進行性の疾患。皮膚の神経内分泌腫瘍または索状がんとも呼ばれ、頭頸部、腕といった、日光にさらされることが多い部位の皮膚に発生する。リスク因子として、日光へのばく露、免疫系の弱体化(臓器移植を受けたことがある患者、HIV/エイズ患者、慢性リンパ性白血病など他のがん患者)などが挙げられる。50歳以上の白人男性では、そのリスクが上昇する。メルケル細胞がんはしばしば他の皮膚がんと誤診され、また、慢性的な日光による障害を受けた皮膚では指数関数的な速度で成長する。現在のメルケル細胞がんに対する治療法には、手術療法、放射線療法、化学療法がある。また、転移性またはステージIV のメルケル細胞がんに対しては一般に緩和ケアの適応となる。
記事:可知 健太


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