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PD-1抗体の抗腫瘍効果はベザフィブラート等によるミトコンドリアの活性化で増強する 米国科学アカデミー紀要(PNAS)
[公開日] 2017.01.25[最終更新日] 2017.01.25
京都大学 本庶佑氏の研究グループは、プログラム細胞死受容体1(PD-1)の働きを阻害するニボルマブ(オプジーボ)など、PD-1抗体の有効性を増強する併用療法を見いだした。マウスモデルを用い、T細胞のミトコンドリア活性を促進する低分子化合物を併用することにより、PD-1抗体の抗腫瘍効果が増強するという概念実証(Proof-of-Concept[POC])に成功した。研究結果が2017年1月の米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。
本庶佑氏の研究グループがPD-1という分子を発見したことで免疫チェックポイント阻害薬の開発が始まり、PD-1抗体オプジーボなどの新薬登場でがん薬物療法に革新をもたらした。奏効率が劇的に向上した。悪性黒色腫の一次療法では1年後の全生存率が70%を超えたという報告もある。しかし、PD-1阻害療法に反応しない、あるいは反応性が低い患者、いわゆる非レスポンダーはおよそ30%から50%存在するのが現実である。本庶氏らは、非レスポンダーを如何にしてレスポンダーにするか、を重要課題として併用療法の研究を行ってきた。
研究の主な成果は次のとおり。
・脂質異常症(高脂血症)治療薬として承認されているベザフィブラートが、PD-1抗体の抗腫瘍効果を増強した。
・ミトコンドリア活性を示す分子がPD-1抗体の有効性を予測するバイオマーカーとなる可能性がある。
・キラーT細胞のミトコンドリアを活性化するとがんを攻撃するT細胞のエネルギーが増加した。
・がんの進行に伴い、がん反応性キラーT細胞(TR CTL)は所属する流入領域リンパ節(DLN)で増殖してがん局所に移行するため、がん局所とともにリンパ節を外科的切除することは、抗腫瘍効果に重要な役割を果たすTR CTLをも除去してしまうことになる。
・ミトコンドリアを活性化するカギとなる分子は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-ガンマ(PPARγ)の共役因子であるPGC-1αと判明した。
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