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非小細胞肺がん T790M遺伝子変異陽性にてタグリッソが化学療法を上回る成績 NEJM
[公開日] 2016.12.22[最終更新日] 2016.12.22
上皮増殖因子受容体(EGFR)-T790Mチロシンキナーゼを標的とする不可逆的阻害薬オシメルチニブ(商品名タグリッソ)が2016年3月、厚労省により承認された。適応症は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に耐性を獲得したEGFR-T790M遺伝子変異陽性で手術不能、または再発の非小細胞肺がん(NSCLC)である。優先審査品目指定で、申請後およそ7カ月での承認であった。第1世代のイレッサ、タルセバ、第2世代のジオトリフに続く第3世代と位置付けられている。
本承認は、第2相試験であるAURA2試験の結果をもとに承認されたが、今回、T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象としたタグリッソ単剤とペメトレキセドとプラチナ製剤併用を比較した第3相試験(AURA3,NCT02151981)結果がNew England Journal of Medicine12月6日号に掲載された。
AURA3は、EFGRTKI耐性のT790M陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるタグリッソの国際的な無作為化オープンラベル試験。EGFR–TKIの1次治療でPDとなった419名の患者が登録され、タグリッソ80mg/日経口投与群とペメトレキセド500mg/m2+プラチナ製剤(シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5)3週ごと静注群に2:1に無作為に割り付けられた。また、ペメトレキセド+シスプラチン群に割り付けられた方は、使用中止後にタグリッソ群を使用できた(クロスオーバー)。主要評価項目は治験研究者評価の無増悪生存期間(PFS)であった。
結果、PFS中央値はタグリッソ群10.1ヶ月、ペメトレキセド+プラチナ群4.4ヶ月であり、統計学的に有意にタグリッソ群で長かった(ハザード比:0.30、95%信頼区間:0.23–0.41、p<0.001)。奏効率(ORR)はタグリッソ群71%、ペメトレキセド+プラチナ群31%とこちらも統計学的に有意にタグリッソ群で良好だった(オッヅ比:5.39、95%信頼区間:3.47-8.48、p<0.001)。
また、タグリッソは脳転移例でも良好な成績を示し、被験者の中で中枢神経系(CNS)転移のあった144名のPFS中央値は、タグリッソ群8.5ヶ月、ペメトレキセド+プラチナ群4.2ヶ月と統計学的に有意差は示さなかったもののタグリッソ群で優れていた(ハザード比:0.32、95%信頼区間:0.21–0.49)。
当試験におけるグレード3以下の有害事象発現率は、タグリッソ群23%、ペメトレキセド+プラチナ群47%と、タグリッソ群で少なかった。
タグリッソのPFSのベネフィットは事前に設定されたすべてのサブグループで横断的にみられ、CNS転移例も含めハザード比は0.5未満であった。著者のTony. S. Mok氏らは、タグリッソは、1次治療のEGFR-TKI無効のT790M陽性NSCLCにおいて、CNS転移例も含めプラチナベースの化学療法よりも効果的であることを結論として述べている。
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